IENAKA 第3回マネー特集 始めの一歩を踏み出す勇気と無茶をしない自律心が投資を成功させる

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2017.05.01
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資産形成のスペシャリストに聞く「4,000万円を貯めるため」のコツとポイント

老後の夫婦生活に必要と言われている4,000万円をリタイアまでどうやって貯めるか――。資産形成のスペシャリストであるひふみ投信の運用責任者 藤野 英人さんにお話を伺う、IENAKAマネー講座。最終回となる今回は、実際に投資を始めるためのコツや気をつけたいポイントをご紹介します。

「投資≠ギャンブル」投資とはコツコツとリターンを得る行為

前回、「自分が興味の持てる会社、応援したいと思う会社の株を購入することから始めてみては」と語ってくれた藤野さん。投資をギャンブルにせず、資産づくりに役立てるために大切なのは「小さく、ゆっくり、長く」という考え方だそうです。
「『小さく』とはいきなり大金を投入せず、できる範囲内で始めるという意味です。手に汗を握らない程度の投資額から、『ゆっくり』時間をかけて、購入時期を分散しながら、そして上がったり下がったりする相場に一喜一憂せず、目線を『長く』して落ち着いて運用することが大事です」

藤野さんが資産づくりの初心者にオススメするのは、投資信託で行う積み立て投資です。投資信託とは、個人投資家から集めた資金をまとめて、運用の専門家(ファンドマネジャー)が株式などの資産に分散投資する金融商品。藤野さん自身も成長が期待される日本株を中心に投資する投資信託「ひふみ投信」のファンドマネジャーです。
「少額の資金から投資ができること、分散投資ができること(資産・時間)、専門家が運用していることなどが個人にとってのメリットです。毎月など一定の間隔で同じ額を購入する方法を、私は『貯めながら増やす』を略して『ためふや』戦略と言っています。貯金をするような感覚で同じ金額で投信を買う。元手がない人でも、『小さく、ゆっくり、長く』の投資を始めることができるのです」

あなたはどっち? 投資における“2つのスタイル”

実際に投資信託で資産づくりを始めるにしても、どこから手をつけてみれば良いかわからない方も多いはず。まず初心者に知っておいてもらいたいのが投資信託の「パッシブ運用」と「アクティブ運用」という2つの運用方法です。

パッシブ運用

パッシブとは、日本語で「受動的」「消極的」の意。運用目標とされるベンチマーク(日経平均株価やTOPIXなどの指標)に連動する運用成果を目指す運用手法のこと。

アクティブ運用

アクティブ運用とは、その名の通り「積極的な運用」。ファンドマネジャーが将来の値上がりが期待できる株式や債券などに投資をしていきます。

「私たちの会社が運用している『ひふみ投信』はアクティブ運用の日本株の投資信託ですが、パッシブ運用もアクティブ運用もスタイルの違いで、どちらが決定的に良いというものではありません。自分のスタイルに合った方を選べば良いでしょう。どこで買うか、投資のパートナー会社の選び方についても、証券会社や銀行などの店舗に赴くなど対面のほうが安心だという人もいれば、ネット証券で手軽で身近だと感じる人もいるでしょう。運用方法と合わせ、自分にマッチするやり方を見つけてください」と、藤野さん。

小額から始められる投資には追い風が

「『投資で失敗した』というネガティブな情報は数多く耳にしますが、ほとんどの場合は身の丈に合っていない投資をしたためです。自分の手元にあるお金を「小さく、ゆっくり、長く」で運用していけば、大きなダメージを受けることはほとんどありません。2017年1月には個人型の確定拠出年金『iDeCo(イデコ)』が、2018年1月からは『積立NISA(ニーサ)』と、国の税制優遇が使える制度が開始します。小額から始められる投資には追い風が吹いているのではないでしょうか」
まだまだ始めている人が少ない“投資”。だからこそ、うまく味方につけることができれば、将来の資産形成のための大きな武器になり得ます。大切なのは、始めの一歩を踏み出すための少しの勇気と、無茶な投資をしないよう自身を律する気持ちなのかもしれません。

第1回 リタイアまでに4,000万円貯められる? 「貯金バカ」のままじゃ老後の15年間は過ごせないかも
第2回 「投資」は資産を形成しながら社会を支える行為

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