ハーブは古くから薬用などに使用され、私たちの生活や健康に身近な植物です。それぞれ独特の香りや風味があるだけでなく、体にうれしい効果をもたらすことも。おなじみのものや手軽に購入できる、24種類のハーブの効能を紹介します。
- [ 目次 ]
- ハーブとは
- 24種のハーブ紹介(アイウエオ順)
- – イタリアンパセリ
- – ウスベニアオイ
- – エキナセア
- – エルダーフラワー
- – オレガノ
- – コリアンダー
- – シソ
- – ジャーマンカモミール
- – セージ
- – セントジョンズワート
- – タイム
- – ダンディライオン
- – チャービル
- – ディル
- – ハイビスカス
- – バジル
- – フェンネル
- – ミント
- – ラベンダー
- – リンデン
- – ルッコラ
- – レモングラス
- – ローリエ
- – ローズマリー
- ハーブの主な健康効果
- – 鎮静作用
- – 抗酸化作用
- – 免疫の活性化
- – 消化促進
- – 抗菌・抗ウイルス効果
- ハーブを摂取する際の注意点
- ハーブを手軽に楽しむ方法4選
- – ハーブティーやハーブカルピスに
- – 料理にハーブを使う
- – 自宅で育てる
- – クラフトを楽しむ
- まとめ
ハーブとは
ハーブは、香りがよく、人の役に立つ植物の総称です。ヨーロッパで古くからその名称が使われてきましたが、アフリカやアジア地域でも紀元前から使われています。古くは、エジプトでミイラの保存に使われたという記録もあります。
・ハーブ = 漢方?
体に良い植物と聞くと、漢方と何が違うのか気になります。実は、漢方として使われているハーブもたくさんあります。例えばカレーによく使うターメリックは、漢方では「ウコン」と呼ばれています。最も大きな違いは、ハーブは食品で、漢方は薬事法で定められた医薬品という点です。また漢方には動物由来の材料もありますが、ハーブは植物だけを指します。
・ハーブとスパイス、どこが違う?
ハーブとスパイスに明確な区分はありません。世界最古のハーブとも呼ばれているシナモンは、肉料理のスパイスとしても使用することがあります。スパイスは、広い意味でハーブの一種と考えていいでしょう。ハーブの中で、特徴的な味や香りを持つ植物・加工品を特にスパイスと呼ぶことが多いです。
・24種のハーブ紹介
それでは、私たちの生活に身近なハーブ24種を紹介します。普段何気なく食べているハーブの意外な効能が発見できるかもしれません。(アイウエオ順で紹介しています。)
イタリアンパセリ
セリ科ビタミンやミネラルなど栄養価が高く、消化作用や食欲増進作用がある。一般にパセリとして使われている、葉が縮れて匂いの強い「モスカールドパセリ」と違い、葉が平らでクセがなく、魚料理や肉料理、サラダなどに利用される。
ウスベニアオイ
アオイ科青色のアントシアニンを含み、ハーブティーにレモンをたらすと一瞬でピンクに変わるのが特徴。欧米では昔からのどの痛みや咳、胃炎などに用いられる。また、肌の湿布やパックとしても使われる。
エキナセア
キク科北米の先住民が最も大切にしたハーブで、伝染病や毒蛇に咬まれた時などに使われていた。免疫力を高めることも知られ、風邪やインフルエンザ、カンジダや尿道炎などの予防、治りにくい傷の治療などに用いられる。
エルダーフラワー
レンプクソウ科発汗や利尿作用をもたらす。抗アレルギー作用もあり、くしゃみ、鼻水などの花粉症や風邪の症状に用いられ、欧米ではインフルエンザの特効薬とも言われる。
オレガノ
シソ科ミントのようなフレッシュな香りとほのかな刺激で、肉料理やチーズ・トマトとの相性が抜群。魚や肉の臭みを消す、イタリア・地中海・メキシコ料理によく使われる。消化を助け、強壮作用があるので疲れが取れないときにおすすめ。
コリアンダー
(パクチー、香菜、シャンツァイ)セリ科
完熟した種子は甘く爽やかな香りで、アジア?アフリカの広い地域で料理やお菓子の材料に使われる。葉は独特の強い芳香を持ち、料理のトッピングや炒め物、ソースなどに。
シソ
シソ科日本料理の薬味として欠かせない存在。葉が紫色の「赤シソ」と緑色の「青シソ」があり、花穂や実も薬味や刺身のツマに使われる。解毒や防腐、食欲促進のほか、発汗、解熱などの働きがあり、風邪のひき始めなどによいとされる。
ジャーマンカモミール
キク科世界で最も親しまれているハーブの一つ。心身のリラックス効果と消炎作用によって、胃炎・胃潰瘍や不眠のほか、月経痛や冷え性などの婦人科の症状にも用いられる。牛乳と合うのでミルクティーにすることも。
セージ
シソ科ヨーロッパで古くから薬草として利用され、ヨモギに似たさわやかな芳香とほろ苦さが特徴で、肉料理に合う。免疫力を高め、抗菌・抗酸化作用があるので、口内炎や歯肉炎によいとされる。収斂作用があり、制汗や肌の引き締め効果も。
セントジョーンズワート
オトギリソウ科落ち込んだ気持ちに明るさを取り戻す「サンシャインサプリメント」とも呼ばれ、夏至の日に収穫すると最も治癒力が高いとされる。消炎や鎮痛効果も。
タイム
シソ科強い抗菌作用を持ち、痰の排出を促すほか、鼻炎や喉の痛みなど呼吸器系の不調に用いられる。清涼感のある強い香りは特に魚と相性がよいと言われ、肉・トマトにも合う。防腐作用もあり、ソーセージやピクルスなどの保存食にも利用される。
ダンディライオン
キク科世界各地で薬草として利用され、日本でも漢方薬の材料として使われてきた。肝臓や胆のうの不調、便秘、消化不良などの時に用いるほか、母乳の出をよくするとも。根を軽くローストしたハーブティーが、コーヒーの代わりに飲まれている。
チャービル
セリ科パセリをマイルドにしたような甘い香りを持ち、フランスでは「美食家のパセリ」と呼ばれる。肉・魚・卵料理などと相性が良く、葉はデザートの飾りにも。熱を加えすぎると香りが飛んでしまうので、生のままか、料理の仕上げ段階で使われる。
ディル
セリ科「魚のハーブ」としてヨーロッパで愛されてきた。サラダ、スープ、ピクルス、菓子など、用途が幅広い。消化吸収や母乳の分泌を促進するほか、種子の煎じ汁は神経を穏やかにし、腹痛も改善すると言われている。
ハイビスカス
アオイ科ローゼルとも呼ばれ、クエン酸などの成分が疲労回復を早める。さわやかな酸味と美しいワインレッド色のハーブティーは女性に人気で、便秘や循環不良にも用いられる。
バジル
シソ科抗酸化作用の高いβカロチンやビタミンEを含み、アンチエイジング作用がある。イタリア料理では定番で、スイートバジルなど約150種がある。トマトとの相性が抜群で、消化機能の促進作用やイライラを抑える働きもある。
フェンネル
セリ科最も古い栽培植物のひとつ。葉も種子も甘い香りで、魚料理に広く利用される。種子は消化機能の活性化や口臭予防に有用で、中国のミックススパイス「五香粉」の原料。
ミント
シソ科スッとしたさわやかな香りを持ち、ペパーミントのほか、スペアミント、アップルミントなどさまざまな種類がある。繁殖力が強く育てやすい。お菓子やドリンクのほか、肉や魚料理の臭み消しに使われる。眠気覚ましや食欲不振に。
ラベンダー
シソ科ストレスや緊張を和らげるリラックス効果の高いハーブで、やさしい香りが人気。抗菌作用や消炎作用があり、スキンケアにも使用されてきた。偏頭痛、月経不順にも効果があり、古代ローマでは入浴や洗濯の湯水にラベンダーを入れていたそう。
リンデン
アオイ科甘い香りが緊張をほぐす作用があるので、ハーブティにして飲むと質の高い睡眠をもたらすと言われる。鎮静作用と利尿作用があるので高血圧にも用いられるほか、風邪のひき始めなどに発汗をうながして回復を早めるといわれている。
ルッコラ
アブラナ科噛むとゴマに似た香りと、わずかな辛みがある。生ハムやチーズ、トマトと相性が良く、ペースト状にしてナッツ類やオリーブオイルと混ぜ合わせてソースとしても使われる。強力な抗菌作用・解毒作用を持ち、毒素の排出を助けるほか、美肌にも効果あり。
レモングラス
イネ科さわやかなレモンの香りが特徴で、タイの代表的な料理「トムヤンクン」に欠かせない。食欲不振や消化不良のほか、感染症の予防や炎症の緩和に用いる。精油は虫除けにも使われる。
ローリエ
(ローレル、月桂樹)クスノキ科
古代オリンピックでは「勝者の冠」と言われた。入れると煮込み料理などにコクや深みが増す。食欲を増進し、消化機能を活性化させるほか、防腐作用もあり、マリネやピクルス、ソースなどの保存食にも用いる。
ローズマリー
シソ科古くから「若返りのハーブ」「記憶力を増強するハーブ」として知られる。強い香りで肉料理の臭い消しや魚や野菜の風味づけに用いるが、苦味がある。ティーは代謝を上げ、脳の働きを活性化。抗酸化作用に優れ、化粧品の原料にも。
ハーブの主な健康効果
ハーブには、さまざまな健康効果があります。日常生活に取り入れる際に、特に注目したい効能について紹介します。
・鎮静作用
不安や緊張を和らげて、気持ちを落ち着かせます。
(例)ジャーマンカモミール、ディル、ラベンダー
・抗酸化作用
私たちの細胞の酸化(老化)を抑える効果です。植物が紫外線による細胞の酸化を抑えるために作った抗酸化物質が、人間のアンチエイジングにも効果があるとされています。
(例)バジル、ルッコラ、ローズヒップ、ローズマリー
・免疫の活性化
免疫機能を高める効果があり、細菌やウイルスなどから身体を守ります。
(例)エキナセア、エルダーフラワー、チャービル
・消化促進
香りなどの有効成分が、消化不良や胃もたれなどを和らげ、胃腸を活性化させて食欲を増進させます。
(例)イタリアンパセリ、オレガノ、コリアンダー、シソ、ジャーマンカモミール、ダンディライオン、チャービル、ハイビスカス、ミント、ディル、バジル、ルッコラ、レモングラス、ローズマリー、ローリエ
・抗菌・抗ウイルス効果
食べ物に用いることで細菌やウイルスの繁殖を抑えるなど、防腐効果があります。
(例)イタリアンパセリ、エキナセア、シソ、セージ、タイム、ラベンダー、ルッコラ
ハーブを摂取する際の注意点
購入する際は、食品に分類されているものを選ぶと安全です。雑貨に分類されているものは、着色料や残留農薬などの安全性が確認できないので、避けた方がいいでしょう。
・薬を服用している人は医師や薬剤師に相談を
ハーブは体にいいものですが、含まれている成分によって医薬品の薬効を減退させたり、逆に過度に増進させてしまうことがあります。普段から薬を服用している人がハーブティーなどを飲む場合は、あらかじめ医師や薬剤師に相談しましょう。
・アレルギーの人は注意が必要
ハーブには、アレルギーの原因となる成分が入っていることがあります。例えばハーブにはキク科の植物も多く、キク科植物のアレルギーを持つ方は避けた方が良いでしょう。使用するときには分類科目を確かめるなど、注意が必要です。
ハーブを手軽に楽しむ方法4選
さまざまな効能を持つハーブ。身近に取り入れるための方法を4つご紹介します。
・ハーブティーやハーブカルピスに
カモミールやレモンバームなどは、摘み取ったものにお湯を注いだり、普段の緑茶や紅茶にプラスするだけでハーブティーに。ドライハーブを使ったハーブカルピスは、ハーブティよりもまろやかな味と香りが楽しめます。
<ハーブカルピスの作り方>
[ 材料 ]
ラベンダー(ドライ)10g、カルピス(濃縮)500ml程度
[ 作り方 ]
①カルピスを鍋に入れて温め、軽く煮立ったら火を止める
②ラベンダーを入れ、香りを逃さないようフタをして冷ます(30分以内)
③漉して容器に入れる
※保存は冷蔵庫で1ヶ月程度
・料理にハーブを使う
肉や魚をローズマリーやタイムなどと一緒に加熱すると、生臭さが軽減されます。サラダに混ぜると、そのままの栄養をフレッシュな香りと共に食べられます。肉料理、魚料理、生食などに向いたハーブを、用途を考えて選ぶのも楽しいですね。
<マイタケのアヒージョの作り方>
[ 材料 ]
マイタケ1/2袋、薄切りベーコン1枚、オリーブオイル100g、にんにく1かけ、唐辛子1/4本、塩適量、イタリアンパセリの葉2枝
[ 作り方 ]
①オリーブオイルを鍋に注ぎ、温めてからスライスにんにくと輪切り唐辛子を入れる
②食べやすい大きさに割いたマイタケと1cm幅に切ったベーコンを①に入れて弱火で煮る
③5分ほど煮たら塩で好みの味に整える
④イタリアンパセリのみじん切りを水にさらし、ペーパータオルでよく水気をとる
⑤③に④をふりかけ、すぐ火を止める
・自宅で育てる
ハーブは庭やベランダなどで育てやすいものが多いのも魅力です。ラベンダーなど、花が咲くものを切り花としてお部屋に飾るのも素敵。香りが強く防虫効果が高いものを、ほかのハーブや野菜などと共に植えて、挑戦してみてはいかがでしょう。
・クラフトを楽しむ
乾燥したハーブで、サシェ(香り袋)やハーブピロー(枕)などを作ると、消臭や虫除け、リラックス効果などが期待できます。他にもハーブの花や葉をフレッシュなままテーブルコーディネートに使ったり、リースなどを作って飾ると、見た目も華やかでリッチな印象に。
今回は、日本で手に入りやすい24種類のハーブをご紹介しました。この他にも多くの種類があり、料理や飲み物、デコレーションなど、その使い方もさまざまです。お気に入りのものを見つけたら、体調や気分に合わせて取りいれてみてはいかがでしょうか。
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