18種類の効能を紹介! スパイス図鑑
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2017.11.17特有の香りを持ち、料理にひとさじ入れるだけで風味を変える力を持つスパイス。世界には100種類以上もあるといわれており、食欲増進や殺菌、消化促進などさまざまな効果があります。スパイスを使った代表的な料理といえばカレー。どのようなスパイスがブレンドされているのか、その種類と効能について解説します。
そのほか、中国の代表的なブレンドスパイス「五香粉(ごこうふん)」や、日本独特のブレンドスパイス「七味唐辛子」のほか、よく使用されるスパイスについても紹介します。
カレーのスパイスガラムマサラ
ガラムマサラのガラムは「辛い」、マサラは「混合物」を意味し、スパイスを混ぜ合わせたものです。
通常3~10種類のスパイスが使用されますが、べーシックな組み合わせが、下記の6種類です。
クミン=馬芹(うまぜり)
カレー粉特有の香りを持つ。食欲増進や消化促進作用があるといわれている。カレーの本場インドでは、タンドリーチキンにも使用されるスパイス。
コリアンダー=胡荽子(こずいし)
葉はパクチー(香菜)として使用される。温めてつぶすと、オレンジのような甘い香りがする。
消化を促し、食欲を増進するはたらきがある。パキスタンなどでは、せき止めの薬としても用いられているそう。
カルダモン=小豆蔲(しょうずく)
香りの王様といわれる、すがすがしい香りを持つショウガ科のスパイス。香りをかぐと、脳の血流が3%改善されるとの研究結果もある。
インドのお茶「チャイ」にも使用され、山椒の代わりにウナギのかば焼きにかけてもおいしい。
ターメリック=鬱金(うこん)
カレーやたくあんの黄色の原料。ポリフェノールの一種であるクルクミンを含んでおり、抗酸化作用や肝機能改善、アルコール代謝作用、コレステロール値低下などのはたらきをもつとされている。
アルツハイマー病の原因ともなるタンパク質やアミロイドβの蓄積を防ぐ働きももち、近年は認知症予防としても脚光を浴びている。
レッドペッパー=蕃椒(ばんしょう
唾液を多く分泌させ、消化を助ける。美肌にもいいとされるビタミンAやビタミンCを豊富に含む。だ液や胃粘液を出やすくするはたらきがある。心筋梗塞の予防にもなると言われている。
コロンブスが南米で発見し、いち早く世界に広めたスパイス。
シナモン=桂皮(けいひ)
漢方の処方で使用されることの多い、香木の一種。甘みを引き立てるはたらきがある。
体内の余分な水分をはけさせるので、夜尿症などにも効果があるとされている。
<調合の割合>
おすすめのブレンド割合は下記です。
・クミン: | 2 |
・コリアンダー: | 4 |
・カルダモン: | 1 |
・ターメリック: | 2 |
・レッドペパー: | 1 |
・シナモン: | 0.5 |
ブレンドしたら、密閉容器に入れて約3カ月保存できます。調理する際には、フライパンに入れて1分ほど火にかけると、香りがいっそう引き立ちます。
中華風に仕上がるブレンド「五香粉」
五香粉(ごこうふん)とは、5種類、ないしは5種類以上のスパイスをブレンドして作った中国の代表的なスパイスです。料理が中華風の味わいになるので、いつもの味付けに飽きてしまったときに取り入れてみてはいかがでしょうか。 使用するスパイスは、先ほど紹介した シナモンに加えて、下記の4つです。各種類と、そのはたらきなどについてみてみましょう。
クローブ=丁子(ちょうじ)
漢方薬やお線香の原料として使われる、香りのよい香木の一種。
強い抗菌力を持ち、麻酔作用やさび止めなど、用途は幅広い。腸内にたまったガスを排出しやすくする駆風剤(くふうざい)としても用いられる。
マンダリン=陳皮(ちんぴ)
みかんの皮を乾燥させたもの。食物繊維の一種であるペクチンや、抗酸化作用をもつポリフェノールの一種のフラボノイド、疲労回復や美肌にもいいとされるクエン酸を多く含んでいる。胃腸のはたらきを活発にするともいわれている。古いほど良質。
スターアニス=大茴香(だいういきょう)=八角(はっかく)
血行を促進や利尿作用があるといわれてる。代謝や消火活動を活発にするはたらきや、気持ちを静める鎮静効果もあるとされている。
山椒=ファガラ
胃を丈夫にしたり、利尿、発汗作用があるとされている。
<調合の割合>
五香粉を作る各スパイスのブレンドの割合をご紹介します。
・シナモン: | 1 |
・クローブ: | 0.5 |
・マンダリン: | 2 |
・スターアニス: | 2 |
・ファガラ: | 1 |
から揚げの場合は、肉に30分くらいつけておいたり、フライドポテトに振り掛けてもおいしくいただけます。
上記の5種類に加えて、ジンジャーやガーリックなどを足すこともあります。
日本独特の薬味七味唐辛子
七味唐辛子は江戸時代前期の1630年頃に完成したといわれています。日本で欠かせない調味料である醤油との相性がいいことも、日本で長く親しまれてきた理由かもしれません。
七味唐辛子は、胡麻と青のりに加えて、5つのスパイスをブレンドしています。先ほど紹介したレッドぺッパーと山椒、マンダリンの3種類と下記の2種類です。
ヘンプ=麻の実
近年、栄養バランスが良好で、栄養価が高いとされているスーパーフードとしても注目を集めている。良質なたんぱく質やミネラルが豊富に含まれるとされており、漢方では便を滑りやすくする緩下剤として使用される。
油分を含んでおり、ヘンプオイルの美容への効果が期待されている
ポピー=芥子(けし)
芥子の実に含まれるβカロテンには抗酸化作用があり、アンチエイジングとしても注目されている。
種から油を採り、せっけんや軟膏、絵の具の材料にも使用される。種には催眠作用はない。
胃腸のはたらきを活発にしてくれるレッドペッパーが食欲を増進したり、代謝を高めるほか、食物繊維を豊富に含むマンダリン、栄養価の高いスーパーフードとしても注目されるヘンプなど、一度にさまざまな栄養素を取ることができるといえそうです。かけすぎには注意しながら、肉や魚料理だけでなく、きんぴらなどにも合わせてみてはいかがでしょうか
アニサキスを弱らせる強い味方も!?
これまでに紹介してきたスパイス以外にも、私たちがよく見聞きするものはたくさんあります。身近なものをいくつかご紹介します。
ブラックぺッパー=黒胡椒
代謝を高めたり血流を良くするので、冷えなどにもいいとされている。ペッパーには大きく分けて4種類あり、黒のほかに白、ピンク、グリーンがある。
ジンジャー
血液の循環をよくして、体を温める。
フェンネル
食べ物の消化を助けたり、駆風剤のはたらきがある。近年話題になることが多い、胃腸に激しい痛みをもたらす寄生虫「アニサキス」が嫌う香りでもある。アニサキスが体内に入ってしまったら、フェンネルを生のまま3分間ほどよくかんで飲み込むと、アニサキスの動きが弱まり、自然排便される場合もあるとされている。
ミント=薄荷(はっか)
気持ちを穏やかにしたり、静めるはたらきがある。
ガーリック=太蒜(たいさん)
抗菌作用があるとされ、がんに対する抵抗力があるとされている。
ローズマリー=万年老(まんねんろう)
アンチエイジングのハーブとして知られている。
名前は聞いたことがあるスパイスも多かったのではないでしょうか。最近では専門店でなくても、取り扱っているスーパーが増えてきているようなので、料理にひとさじプラスして、風味のバリエーションを広げてみてはいかがでしょうか。
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[お話をうかがった方]
薬日本堂漢方スクール講師
河端昭雄さん
ドラッグストアや調剤薬局、漢方相談薬局に40年以上勤務した経験を持つ。日本の薬草文化や東西に共通するスパイス、遣唐使のもたらした薬物の素晴らしさを紹介する講座は人気がある。
薬日本堂漢方スクール
漢方初心者の方も気軽に参加できるワンデイセミナーから本格的に学べるコースまで多彩な講座を取り揃え、健康維持をサポート。漢方スタイリストや漢方カウンセラーの資格も取得できる。品川・大阪・仙台の3箇所に展開。
http://www.kampo-school.com