誰もが気になる将来の「お金」のこと。本連載はその不安や疑問について、働く女子マネ子が、お金を積み立てさせたら日本一と評判の積立王子こと、セゾン投信の中野晴啓社長と一緒に考えます。今回は、確定拠出年金iDeCo(イデコ)の開設口座を選ぶ上で比較すべき、口座管理料についてお話しします。
マネ子(30歳・独身)
「将来のために貯金しなきゃ」と、漠然と感じているが、社会人になって一人暮らしを始めてからなかなか貯められずにいる、働く女子。
マネ子 イデコの資料を取り寄せて、いよいよ口座を開設しようと思っています。投資信託の品ぞろえが豊富な、○×証券で申し込もうと思っています。
中野 確かに、品ぞろえも取扱い機関を選択する一つの項目ですが、「口座管理料」についてはチェックしましたか?
マネ子 口座管理料は、どこもほとんど同じだと思っていたので、気に掛けていませんでしたが、差があるのでしょうか。
中野 口座管理料は、加入時に一度だけかかるものと運用している間にずっと掛かる継続コストの合計です。たとえば、継続コストが毎月100円程度だとしても、この先30年運用すると考えれば、決して少ない金額ではありませんよね。今回は、コストの視点から、イデコの運用についてみてみましょう。
この「口座管理料」は、どこで口座を開設したかによって差が出る部分なので、しっかり確認してから金融機関を選ぶのをおすすめします。
口座管理の継続コストは、国民年金基金連合会、運営管理機関、事務委託先金融機関(信託銀行)の三者に対して支払うものです。
国民年金基金連合会には月額103円、事務委託先金融機関には月額64円と、それぞれ一律の金額です。
<口座管理料一覧>
国民年金基金連合会/月 | 一律103円 |
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事務委託先金融機関/月 | 一律64円 |
運営管理機関/月 | 0円 / 464円 |
合計/月 | 164円 / 631円 |
合計/30年間 | 60,120円 / 227,160円 |
一方、銀行や証券会社等の運営管理機関の手数料はその運営管理機関が独自に決めることができるので、どこで口座を開設するかによって差が出るのです。この運営管理機関への手数料を無料にしているところもあり、その場合は103円+64円=167円で済みますが、一部の金融機関では手数料が255円かかります。このとき毎月の手数料は167円+255円=422円ですから、たとえば、30年間運用すると、運営管理機関に払う手数料だけで255円×30年×12カ月=9万1,800円になります。決して軽視できる金額ではないですよね。できるだけ口座管理料がかからない金融機関を選ぶのが得策といえるでしょう。
運用中に掛かる継続的なコストのほかに、口座開設時に一度だけかかる事務手数料の負担もあります。事務手数料はほとんどの運営管理機関で2777円の一律です。開設と同時に掛かるこの事務手数料に目が行きがちになってしまうかもしれませんが、長い目で見た口座管理料をきちんと把握することが大切です。
毎月数百円と言えど「ちりも積もれば山となる」です。かかるコストはできるだけ減らして、賢く資産運用しましょう。
次回は、iDeCoの運用先の選び方についてお話ししたいと思います。
「積立王子」こと
セゾン投信
中野晴啓 代表取締役社長
1987年に大学卒業後、アパレル業に従事したいとの思いでセゾングループに入社するが、入社3日後に金融運用会社に配属される。16年間ファンドマネージャーを務め、2006年にセゾン投信を設立。年間150回に上る講演を行っており、メディアにも引っ張りだこ。