積立王子がこっそり教えるおカネが“育つ”レシピ vol.1 貯金・投資を始める前にあなたにとっての「お金」を考える

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2018.02.02
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「誰もが気になる、将来の「お金」のこと。最近、「老後に普通の生活を送るためには、3000万円は必要」なんて話を聞きました。今後、年金を頼りにできないことはなんとなく分かっているけれど、定年後のことはあまりピンとこない…このコーナーでは、ごくフツーの働く女子、マネ子(30歳)が、お金を積み立てさせたら日本一と評判の積立王子こと、セゾン投信の中野晴啓社長に不安や疑問をぶつけ、将来必要なお金について考えます。

マネ子(30歳・独身)

マネ子(30歳・独身)

「将来のために貯金しなきゃ」と、漠然と感じているが、社会人になって一人暮らしを始めてからなかなか貯められずにいる、働く女子

将来に対する「漠然とした不安」を抱える方へ

マネ子 将来がなんとなく不安で、何か始めなきゃとは思っていますが、何をどうしたらいいのか分かりません。株や投信など、いろいろな商品があるようですが、何から始めたらいいですか。

中野 将来に対する漠然とした不安は、誰しも抱えていると思います。そして多くの人が「これをやるべきだ!」「これをやればお金を増やせる!」という答えを求めて私のもとにやって来ます。でもその前に、マネ子さんにとって「お金」って何ですか。

マネ子 えっ…。よく考えたことがなかったです…生活していくために必要なもの、かなぁ。

中野 自分にとってお金とはなにかをしっかりと考えれば「なんとなく感じている不安」も「何をどうしたらいいか」もおのずと分かってくるでしょう。そしてお金の使い方は、その人の品格や人生観を映す鏡にたとえられるほど深いものです。今日は、「お金とは何か」について考えてみましょう。

今の1万円は30年後にも同じ価値がある?

ここに1万円札があります。1万円には、他のものと交換できる力があるとみんなが信じています。しかし見方を変えれば、これは破れもすれば燃えもする単なる紙。非常に不安定なもので、バーチャル(仮想)でしかありません。 にもかかわらず人々がこの紙切れにそれ以上の価値を感じるのは、今、1万円払って買えるものが、20年後、30年後にも1万円で買えると盲目的に信じているからです。

日本はよく「ガラパゴス化」と揶揄されますが、この「現金至上主義」の考え方もその一つです。
いい例が、日本と海外での総資産に占める貯金の割合です。100万円持っていた場合、日本人はその約半分を「貯金」として現金で取っておきますが、アメリカでは13万円程度で、それ以外は投資などに回しています。現金のままで取っておくのは、とても不安定だと認識しているからです。

日本人が現金に絶大な信頼を置いているのは、戦後の高度経済成長での経験に基づいています。経済は右肩上がりで金利も高かったので、銀行にお金を預けておけば、10年後には2倍近くにもなって戻ってきました。
しかし現在は「超低金利」と言われ、限りなく0%に近い数字が刻まれていますよね。金利は、言うなれば経済の体温。高ければいいというわけでもありませんが、日本はこの20年ほどずっと低体温で、冷え切っている状態です。決して健康的とは言えません。

それでもせっせと銀行に預けているのは、デフレ社会に浸りきってしまったことで、私たちがみんなお金に関して思考停止してしまっているからと言えるでしょう。
お金の価値は流動的で日々変化しており、国の力が衰えることは、その国の通貨の力も衰えるということです。それでも思考停止したままで、この先も過ごしますか。この連載をを通じて、あなたの経済的なライフプランを一緒に考えていきましょう。

連載第2回は貯金をテーマに掲載します。お楽しみに!



『おカネが育つレシピ』バックナンバーはこちら

セゾン投信代表取締役社長 中野晴啓

「積立王子」こと
セゾン投信
中野晴啓 代表取締役社長

1987年に大学卒業後、アパレル業に従事したいとの思いでセゾングループに入社するが、入社3日後に金融運用会社に配属される。16年間ファンドマネージャーを務め、2006年にセゾン投信を設立。年間150回に上る講演を行っており、メディアにも引っ張りだこ。「積立王子」の異名を持つ。

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