積立王子がやさし~く解説「お金育て」のススメ
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2017.11.06「貯金しなさい」と親に言われてきたみなさん、なぜ貯金することが「いいこと」なのか、改めて考えてみたことありますか。美徳とされてきた銀行預金をはじめとする貯金は、実は現代の日本では全く得しないのです。貯金の代わりに、お金に「はたらいて」もらい、増えていく仕組みにのせてあげるのが賢明。「積立王子」こと、セゾン投信の中野晴啓社長が、「貯金はなぜ得しないのか」と「投資のポイント」について、分かりやすく解説します。「お金のことは難しくてよく分からないから、ダンナに任せきり」という方でも、スッキリ理解できますよ。
「貯金は美徳」は過去のもの
現代には通用しない銀行預金
今、ちまたではさまざまな金融商品が出回っています。将来に対する漠然とした不安を多くの人が抱えている今日。「とにかく貯金」と、毎月の収入の中からせっせと銀行預金している方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちは耳にタコができるほど「貯金しなさい」と言われてきました。知らず知らずのうちに刷り込まれた、この「貯金は美徳」とする考え方。ご自分の将来に当てはめて、一緒に見直してみませんか。
そのためにまず、なぜ貯金が美徳とされてきたのか。そこからひもといていきましょう。
最初に申し上げておきますが、「貯金」イコール「いいこと」というのは過去のもので、現在の日本では、減ることはないものの、ほとんどメリットにならないというのが実情です。
貯金をよしとするのは私たちの親世代、10年定額郵便貯金の金利が7%もあった当時を経験している人たちの考え方です。高度経済成長期には、経済に比例して金利も上がっていったので、金融機関に預けていればどんどんお金が増えたのです。その経験しか知らない世代は、子どもにも「一にも二にも貯金」と、すすめるのです。
しかし今の金利を見てください。みなさんの通帳には、限りなく0%の数字が刻まれていると思います。金利7%の時代は100万円預けると10年後には倍の200万円で戻ってきましたが、今ではたったの数千円程度しか増えないのです。
100年生きるとして、60歳で定年退職した場合、一般的には「ぜいたくはしないけれど、不自由ない暮らし」をするためには約3000万円必要といわれています。やみくもに銀行預金や節約をしたところで、貯まる額ではありません。
そして日本は今、約1000兆円の借金をしています。少子高齢化といわれて久しいですが、日本の人口はピークを過ぎ、労働人口が減少し、経済は縮んでいく一方です。年金受給者が増えるということは、一人ずつの分け前が減るわけですから、年金を頼りにすることはできないでしょう。
不安をあおるわけでも、むやみに悲観しているわけでもなく、残念ながらこれが現実なのです。もはや他人ごとではありません。
「何か始めなきゃ」で金融機関に駆け込むな!
銀行預金をしてもお金が増えるわけではないということが分かった人たちが次に取りがちな行動は、普段利用している銀行や証券会社といった金融機関に駆け込み、どうしたらいいか相談に乗ってもらうということです。
実は、このときすでに、その後のお金の運命を左右してしまっています。一見、自分に合った資産運用方法を紹介してもらえているような気がしますが、実際には、その金融機関が売りたい商品を購入するように丸め込まれてしまうことが多いからです。
勧められるがままに買った株式が、購入した時よりも株価が下がってしまい「損した」と、すぐに売りに出したという話はよく耳にします。相場は毎日上下するのですから、一企業の株価が上下するのは当然のこと。上がり続ける株などありません。それを毎日チェックして「今日は上がった」「今日は下がった」と、毎日一喜一憂するのは意味がありません。
「投資」と「投機」は似て非なるものです。投資は、お金を運用することで付加価値が生まれ、それを得ることができるもの。投機は、短期的な利益を狙って取引し、「当てる」という感覚で資金をつぎ込むことです。世の中には株式投資から投資信託、債券などさまざまなものがありますが、先ほどの株の例は、投機です。
せっせと貯めてきたお金をもっと増やそうと始めたはずが、このように一度痛い目にあってしまうと投資も投機もいっしょくたにして「ギャンブル」のように捉え、またせっせと貯金するということに戻ってしまうのです。
早ければ早いほどおトク 「買い続ける」ことがポイント
では、現代の日本に合った、資産の増やし方とはどのようなものでしょうか。私がおすすめするのは少額でも良いのでコツコツと「買い続ける」ということです。短期間で売り買いするのではなく、20年、30年とじっくり時間をかけてお金を育てていくことが、遠回りのように見えて近道なのです。ポイントは良い投資信託を見つけて
(1)長期で
(2)グローバルに分散して
(3)積み立てる
の3つです。
長期投資は20年以上にわたる長い目で見るので、日々の経済の上下に一喜一憂する必要はありません。また、日本規模でみれば、経済は縮小していますが、世界規模では着実に大きくなっていっています。世界の企業も含めて、幅広くに分散投資することで、着実に積み立てていくことができるのです。
特に女性は、忍耐力がありますから長期の積み立ては向いていると思います。短期的な投機に走らず、長期的な投資にじっくりと取り組みましょう。早ければ早いほどお金が成長できる時間は長くなります。
セゾン投信
中野晴啓 代表取締役社長
1987年に大学卒業後、アパレル業に従事したいとの思いでセゾングループに入社するが、入社3日後に金融運用会社に配属される。16年間ファンドマネージャーを務め、2006年にセゾン投信を設立。年間150回に上る講演を行っており、メディアにも引っ張りだこ。「積立王子」の異名を持つ。
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