休日は自然に「還る」時間 アウトドアでエネルギー補給
HUMAN
2018.05.10ドラマや芝居の仕事の他、旅番組では「自然」に関するものが多いという金子貴俊さん。趣味も登山や釣り、キャンプと幅広くアウトドアを楽しまれているそうです。金子さんにとってアウトドアとは。そして、料理へのこだわりや誰でも簡単に作れるキャンプメニューについてもご紹介いただきました。
俳優
金子貴俊さん
自分自身に向き合い無心になれる心のよりどころ
―― ご趣味は登山やトレッキング、キャンプなどアウトドアが多いようです。
時間さえあれば、自然を感じに外出するようにしています。私は東京出身で、大自然に囲まれて生まれ育ったというわけではないのですが、父がスキーや登山などのアウトドアが好きで、子どものころはよく連れて行ってもらいました。
そうした幼少期の体験もあり、自然への憧れというか、休日には「自然に還りたい!」と感じます。家族で過ごす休日も、なるべくアウトドアをしたいと思っています。子どももキャンプにはよく行きたがっていますね。休日を自宅で過ごすことはほとんどないくらいです。
休日はお子さんと一緒にキャンプをするのが楽しみ(写真は金子さん提供)
―― 自然に触れることで、ご自身にとってどのような影響がありますか。
仕事をする中でいろいろな価値観に触れて、何が本当に正しいのかが分からなくなってしまうことがあります。あれこれ考えて気持ちがつかれてしまうことが多い。でも、自然はいつも泰然とそこにあって、常に変わらない。その中にいると、余計なことを考えず無心になれますし、心が浄化されます。自然の雄大さの前では「自分の悩みなんてちっぽけだな」と思えます。
―― そう感じるようになった原体験があるのでしょうか。
仕事で連日ハードスケジュールだった時期に、南アルプスを3日間縦走するロケがあったんです。前日は夜遅くまで撮影で、当日は早朝からのロケ。
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「キツいな~」と思っていたのですが、いざ登り始めたら心がどんどん元気になるのを実感しました。
登り下りがしんどくはありましたが、景色を眺めたり澄んだ空気を吸っているうちに、すがすがしく、最終日にはすごく前向きに頑張ることができました。自然の力って、本当にすごいと感じた体験でした。
―― 最近はどのようなアウトドアをされましたか。
オフの日は釣りに行くことが多くなりました。子どもと行くこともありますが、休みが合わないときは一人だったり、釣り仲間とだったり。朝5時に家を出て、夕方前までやっています。子どもをお風呂に入れるので、たいていの場合は夕方には帰宅しますが(笑)。
キャンプでのお手軽料理は
外食でヒントを得ることも
―― 登山、釣り、キャンプなど、アウトドアは遠くまで行くことなどで、
なかなか腰が上がらないという方も多いようです。
わざわざ遠くに行かなくても、自然は身近にあります。都内近郊でしたら多摩川や城南島公園もおすすめですし、駒場野公園でBBQするのもいい。いきなり大自然に行こうとせずに、近場でも十分にアウトドアを楽しめますよ。
―― お料理もされるそうですが、金子さんご自身が腕を振るわれるんですか。
僕が作ることも多いですが、家族みんなで一緒にわいわい作ります。よく作るのはアヒージョ。具材を食べ終わったあとも、残ったオリーブオイルでパスタができます。あとは、ローストビーフなんかも案外簡単に作れますよ。 たき火でマシュマロ焼いたりすると、子どもも喜びます。澄んだ空気の中での食事はアウトドアの醍醐味です。
外食したときのメニューから、レシピのインスピレーションを得ることもあります。あるレストランで食べた、レバーパテのキャラメリゼがすごくおいしかったんです。「キャンプのときでも作れそう!」と思い、レバーパテにザラメを乗せ、ガスバーナーで焼いて再現したこともありました。誰でも簡単に作れますし、パンにつけて食べるとおいしいですよ。
アウトドアをする際には金子さんが料理をふるまう(写真は金子さん提供)
ジャングル滞在で学んだ
「生きていく」ことの厳しさ
―― お料理に対するこだわりはありますか。
私はハマると突き詰めるタイプなんです。ラーメンは豚骨・鶏ガラを10時間煮込んでスープをとったり、ギョーザは皮から作ります。
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最近凝っているのはギョーザ。つい先日も100個近く作りましたが、家族全員でぺろりと食べちゃいました。決まった材料やレシピがあるわけではなく、どうしたら前回を超えられるかと試行錯誤しながら作るので、毎回違うものができあがります。
料理の本を読んだり、お店でギョーザを食べた時に、具に何が入っているのかをチェックしたりして、取り入れています。
―― そこまでこだわるようになったきっかけは、
どのようなことだったのですか。
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23歳のときに体験した「ジャングルでホームステイする」というロケです。フィリピン・ルソン島のジャングルで、農耕や狩猟で自給自足をしている部族の小屋に滞在しました。
食べ物を得たかったら、自分で作るか狩りをするしかない。気温30度の炎天下の中、山の傾斜をよじ登ってタロイモを植えることから始めました。
そんなとき、水を飲みたくても言葉も通じない。自分には何もできないことを思い知りました。現地の人がトカゲを弓矢で射って食料を確保しているのを間近で見て、生きていくことの厳しさを感じたと同時に、自分で何でもできるようにならなくては、という意識が生まれた貴重な体験でした。
子どもたちにも、いざというときに自分の力で生きられるように育ってほしいなと思っています。
「孤独」を強く感じた独身時代
自然への向き合い方に変化
―― お子さんができる前と後で、自然への向き合い方に変化はありましたか。
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独身時代はよく、山などの風景写真を撮っていました。高校1年生のときから一人暮らしをしていたせいか当時はすごくさみしがり屋で、そのさみしさを癒してもらう存在だったんだと思います。というのも、当時撮っていた写真を振り返って見てみると、とにかく暗い(笑)。
出版したフォトエッセイの中で詩も書いているのですが、枯れた花と人の孤独を結び付けたり、日の当たらない場所でもひたむきに生きているコケをテーマにしたりと、どこか寂し気なところを自分なりにプラスに変換しようとしている表現が多かったです。
でも子どもができてからは、純粋に自然の中にいることが楽しい。コケの見方一つ取ってみても、以前は「決して主役になることがないけど頑張っている」というものから、「コケがあるから地球の自然が成り立っているんだ」という尊敬の念に変わりました。さみしい存在だと勝手に決めつけていたのは自分自身だと気付いたのです。自然に対して寂しさを癒してもらうようなことはなくなりました。
―― 今後挑戦したいことについて教えてください。
写真は続けていて、最近はフラワーアーティストとコラボして、自然の中で花を使って自然との共存などをどう表現できるかという取り組みを行っています。アーティストさんが、山には咲くはずもない花をその場で生け、その様子を僕が撮影します。今までは東京周辺が多かったのですが、これからは地方に出向いて、色々なアーティストさんとコラボしていきたい。
この活動が地方への貢献につながればいいなと思っています。
[聞き手から]
仕事とプライベートにオンオフをつけずに「いつも自然体でいたい」と話す金子さん。お芝居でも旅番組でもバラエティー番組でも、すべて素の自分でありたいという思いの通り、直接対面して話す金子さんはテレビを通して見ている印象と変わらない、温和なお人柄でした。しばしば自然に「還って」でエネルギー補給をすることで、どんなときでも自然体でいられるのかもしれません。
俳優
金子貴俊さん
1978年1月17日生まれ。東京都出身。1997年に俳優デビュー。ドラマ・舞台の他、日本テレビ系列 「世界の果てまでイッテQ!」、Eテレ「ビットワールド」にも出演するなどマルチに活躍中。フードアナリスト3級の資格も持ち特技の料理や子供の成長を記録したオフィシャルブログは幅広い層から人気を得ている。2017年12月に開催された東急ベル5周年イベントでは夫婦で出演した。
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