2007年にアメリカの医学雑誌「Nature Medicine(ネイチャーメディシン)」で水素水に関する論文※が発表されて以来、注目されている水素水。水素水と一口に言っても、水素を水に含ませる方式によって、水素が含まれる量の違いやメリット・デメリットがあります。水素水を選ぶときの注意点や、種類別のメリット・デメリットについて紹介します。
※Ohsawa I et al : Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals. Nat Med 13 :688-694, 2007
水素水とは・定義
水素水は、水素分子(H2)が豊富に入った水のことです。
ものが水に溶ける量には限界があり、これを飽和濃度と呼びます。水素の常温・常圧の状態での飽和濃度は1.6ppmと言われています。これよりも高濃度の水素水にするためには、圧力をかけるなど、特殊な製法が必要です。
水素の性質・特徴
・体の隅々まで浸透する
水素水は分子が非常に小さく、脂溶性・水溶性の性質を持つとされています。そのため、ビタミンCなど他の抗酸化物質ではできない細胞壁や細胞膜も透過し、体の隅々まで浸透すると言われています。
・時間の経過とともに抜ける
炭酸飲料の炭酸が、開封後に時間がたつと抜けていってしまうように、水素も時間が経過すると抜けてしまいます。
・無味無臭
水素は無味無臭で副作用がありません。安全な添加物として、厚生労働省にも認められています。
水素水の種類とそれぞれのメリット・デメリット
「水素水」と呼ばれるものには、製造方法によって種類があります。ここでは、3つの種類の特徴とメリット・デメリットを表にまとめました。
[ アルミ缶・アルミパウチ ]製造方法 | 製造工場で、水に水素ガスを充てんする |
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水素溶存量 | 0.1~1.6ppm程度 |
メリット | ・封を開ければすぐに飲める ・保管や持ち運びがしやすい |
デメリット | ・製造時から水素が抜けてしまうので、開封後はすぐに飲み切る必要がある |
製造方法 | ペットボトルなどの容器の中で、水とマグネシウム、アルミニウムなどを化学反応させ、水素を発生させる |
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水素溶存量 | 0~1.0ppm程度 |
メリット | ・家庭でも水素水が作れる ・比較的安価な商品が多い |
デメリット | ・事前に作り置きする必要がある ・発生した水素ガスが水に溶け込む量は微量であり、作り方によって溶存量に差が出る |
製造方法 | 飲用水に直接電極を差し込み、電気分解して生成する |
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水素溶存量 | 0.1~1.2ppm程度 |
メリット | ・持ち運び可能な機器など、機種に多様性がある |
デメリット | ・電気分解方式のため、水質がアルカリ性に偏る(アルカリイオン水が生成される) ・水に溶け出した電極の金属イオンを摂取してしまうリスクがある ・機器本体やカートリッジに高額なものが多い |
前述したように、水素には時間の経過とともに抜けてしまう性質のため、製造時から購入して手元に届くまでには、水素の溶存量が異なる可能性があります。パッケージには「製造時〇ppm」と、溶存量がきちんと記載されていることが、購入時の見極めポイントの一つとなるでしょう。(ただし飲用時の溶存量が保証されるわけではありません)
・水素水を摂取する際の注意点
水素水は普通のお水と同じ中性ですが、家庭用生成機、一般的な水素水サーバーのように、電気分解によって水素を生成する場合は、アルカリ性が強くなります。そのため、飲み方や飲む量は説明書をよく読み、自分の体調に合わせて調整しましょう。特に持病のある方はお医者様にご相談してください。
水素水は種類によって水素の溶存量などが異なるほか、製造時と実際に飲む際にも、その量に差が出てしまいます。それぞれの特徴をよく知り、アルミ缶やアルミパウチなどの場合はパッケージを確認してから購入するのがおすすめです。