ヨーグルトやヤクルトに含まれる乳酸菌。巷で健康に良いとされているけど、実際にどんな効果があるのかは知らない方も多いのではないでしょうか。乳酸菌は健康に役立つだけでなく、美容にも効果を発揮することが分かっています。そこで、乳酸菌の主な役割、効果の種類、効果的な摂取方法などを詳しくご紹介します。
そもそも乳酸菌ってなに?
乳酸菌とは、乳酸を作る細菌のことです。人の健康維持にとって欠かせない腸のはたらきを整えたり、美肌や免疫力アップにもつながるとされています。食品などから摂取した乳酸菌は、胃酸によって死滅してしまうものもありますが、消費者庁から特定保健用食品(通称:トクホ)として許可を受けたものは大腸まで生きたまま届いて、身体にいいはたらきをもたらしてくれるのです。
動物性乳酸菌と植物性乳酸菌
乳酸菌について調べていると、よく「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」という言葉がでてきます。動物由来なのか植物由来なのかによって分類しているケースがありますが、実はそもそも、動物性か植物性か、という分類は適切ではありません。
というのも、動物性として分類されているものも、実は、果物や野菜などの表面にも存在するからです。
それぞれの違いについて気になる方もいるかもしれませんが、「どこから」ということよりも個々の乳酸菌が持つ働きが大切なのです。
乳酸菌は美容や免疫力アップに効果あり!
身体にもたらす良い効果とは
乳酸菌が人体にもたらす良い効果は、主に以下の3つがあります。
・整腸作用
・免疫力向上
・美肌
上記の効果について詳しく紹介していきます。
・整腸作用
「腸を持たない生物はない」「生命の発生は腸から」と言われるほど、腸は生き物にとって大切な器官です。乳酸菌は腸の環境を整える上で、重要な役割を果たします。
人間の腸内にはおよそ1000種類、約100兆個もの細菌が住んでいると言われています。その細菌が、花畑(フローラ)のように群がっているため、「腸内フローラ」と呼んでいます。
腸内細菌は、乳酸菌やビフィズス菌に代表される、身体にとっていいはたらきをする有用菌と、悪影響を及ぼす有害菌、どちらにも区別できない中間的な菌に分けられます。
私たちが健康でいられるのは、有用菌が菌の活動を抑えて、腸内フローラが一定のバランスを維持しているからと考えられています。乳酸菌を摂ることで、有用菌が腸内環境を整えてくれるのです。
・免疫力向上
乳酸菌には、免疫力を向上させるはたらきもあると言われています。
外から入ってくる細菌やウイルス以外に、体内で生まれるがん細胞などの異物も排除し、身体を守ってくれるのが免疫という仕組みです。
体の細胞がウイルスに乗っ取られてしまうと、免疫細胞がそこに駆けつけてきて、排除してくれるのです。
また、がん細胞は日々体内で作られていますが、免疫細胞がそれをやっつけて、健康を維持してくれているのです。
代表的な免疫細胞が、がん細胞やウイルスに感染した細胞を撃退するナチュラルキラー(NK)細胞です。NK細胞の活性が低い人は、発がん率が2倍になったという研究結果も報告されています。このNK細胞に関する研究では、健康の人の中でNK活性が低い人たちに、L.カゼイ・シロタ株乳飲料(400億個/本)を1日1本、3週間飲んだときのNK活性の変化を調べたところ、NK活性が上昇しました。
・美肌
美しい肌に欠かせないのは、お肌にうるおいがあること。実は、よい菌を摂ることで肌の水分が保たれたという研究結果があります。
試験は、20〜70代の女性39名を対象に、肌の乾燥しがちな10月中旬から12月中旬にかけて、乳酸菌の仲間として知られているビフィズス菌を含んだ乳飲料(1本100ml当たりB.ブレーベ・ヤクルト株100億個以上およびガラクトオリゴ糖を含む)を摂った場合とそうでなかった場合の肌の水分量を比較しました。
すると、この乳飲料を摂った方はお肌の表面の水分含量が維持され、乾燥が抑制されていることが分かったのです。
さらに、飲む前には角質細胞の形態が不均一だったのが、飲んだ後には整った形に改善していることも観察されています。
ヨーグルトだけじゃない!
乳酸菌を摂取するのに最適な食品とは
乳酸菌といえば、ヨーグルトや乳酸菌飲料(ヤクルトなど)を思い浮かべる方も多いのでは。でも、実は乳酸菌はその他の食品でも摂取できるんです。
乳酸菌を多く含む食品は次の6つです。
ヨーグルト、乳酸菌飲料(ヤクルトなど)、ナチュラルチーズ、ぬか漬け、味噌、キムチ
乳酸菌を多く含む食品を積極的に摂取することはもちろんですが、おなかの中の有用菌が増えやすくなる、いわば有用菌の「エサ」となるオリゴ糖などを一緒に摂るのもおすすめです。
また、腸内細菌が好むのが食物繊維。食物繊維を含む食材も適度に取るとよいでしょう。
乳酸菌を効果的に摂取するには
「定期的に継続する」こと
乳酸菌が身体にいい効果をもたらすことは分かったと思います。しかし、ただ乳酸菌を多く含む食品を食べればいいのではなく、定期的に継続して摂ることが大切です。
というのも、摂取した乳酸菌は腸管内に定着しづらく、摂取をやめると数日後には便とともに体外に排出されてしまうからです。体の中にとどまることができないので、継続する必要があるのです。
乳酸菌を摂る際の注意点
乳酸菌が身体に良いとはいえ、乳酸菌にはさまざまなはたらきがあるので、身体にとっていい効果を及ぼす乳酸菌を取る必要があります。
その食品を見分ける際の指標になるのが、消費者庁が認定している特定保健用食品(通称:トクホ)※です。このマークがついているものは、きちんと根拠があることの表れなので、これを目印に選ぶのが分かりやすいでしょう。
※許可を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品
乳酸菌を効果的に摂取して健康に!
乳酸菌は身体にいいとよく耳にしますが、具体的に身体にどのようなはたらきをもたらすかがお分かりいただけたのではないでしょうか。継続的に取って、健康な体づくりに役立てましょう。