積立王子がこっそり教える おカネが“育つ”レシピ vol.11 「国際分散型」投信の中身を確認しよう

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2018.11.29
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誰もが気になる将来の「お金」のこと。本連載はその不安や疑問について、働く女子マネ子が、お金を積み立てさせたら日本一と評判の積立王子こと、セゾン投信の中野晴啓社長と一緒に考えます。今回は、つみたてNISAの運用商品をどのように選んだらいいかについて紹介します。

マネ子(30歳・独身)

マネ子(30歳・独身)

「将来のために貯金しなきゃ」と、漠然と感じているが、社会人になって一人暮らしを始めてからなかなか貯められずにいる、働く女子。

満遍なく分散している投信を選ぼう

マネ子 前回、つみたてNISAで選べる投資信託は、6000本ほどある中から金融庁の基準を満たした約150本だとうかがいました。150本を比較検討するのも大変ですよね。

中野 確かに、150本にしぼり込まれているとはいえ、そこから自分に合うものを選び取るのは難しく感じるかもしれません。でも、基本はイデコで選んだ時と同じように考えればいいのです。

マネ子 長期で国際分散投資、ですね!

中野 ただ、「国際分散型」とうたっている投資信託でも、内容に偏りがあるものも多いです。選ぶときの注意点も含めてご説明しましょう。

 
つみたてNISA

そもそも、6000本ある投資信託が、つみたてNISAでは150本にしぼられた背景からお話しましょう。
つみたてNISAは、iDeCo同様、若い世代の方に向けた「自分の年金は自分で作りましょう」というメッセージです。そのため、6000本もある投資信託の中から、長期の資産形成に向いているものだけを絞り込んだのです。当時、金融庁が決めた基準をクリアできたのは、実はたったの50本でした。なので、現在ある約100本は、その条件を満たすように新たに作られた投資信託ということです。

日本株のイメージ

では、その中からどれを選べばいいのでしょうか。この150本の投資信託には、日本株をたくさん含んでいるものが多いです。日本株は、なんとなく親しみがあるからと、安易に選んでしまう方もいらっしゃいますが、「なんとなく」で選ぶのは後悔のもとです。

繰り返しになりますが、日本の経済成長はここ20年間こう着状態です。日本の経済規模は、いまや世界経済の10%にも満たないほど小さくなっています。みなさんが「将来への漠然とした不安」を感じているのも、まさに日本経済の低迷が続いていることが背景にあったはずです。それなのに、日本株メインの投資信託で運用するのは得策とは言いえないのは明らかでしょう。

経済成長しているところにお金をはたらきに出すからお金が育っていくのであって、経済が下火の日本に出すのはふさわしいとは言えません。だから、世界経済に投資するべきなのです。

国際分散投資

このようにお話しすると「どこの国に投資するのが一番いいのですか」というお問い合わせをよくいただきます。どこか特定の国や地域の成長株を探し当てるのではなく、広く「分散」するのが大切です。

世界経済というのは、世界各国の経済を集積したもの。成長をリードする国やエリアはその時々で変化します。なので、先進国や新興国など、投資先がまんべんなく含まれているのを選ぶのがおすすめです。「国際分散型」と一口に言っても、投資先の半分以上が日本株のものも多いです。一つ一つの投資信託の中身をきちんと確認してから選択するようにしましょう。
 すでにイデコをやっている方であれば、イデコで選択したものと同じか、似ている投資信託を選んでもいいと思います。むしろ、わざわざ違うものを選ぶ理由はないはずです。国際分散型のものを1本選べば、ポートフォリオを自分で組む必要もなく、シンプルに運用できます。

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セゾン投信代表取締役社長 中野晴啓

「積立王子」こと
セゾン投信
中野晴啓 代表取締役社長

1987年に大学卒業後、アパレル業に従事したいとの思いでセゾングループに入社するが、入社3日後に金融運用会社に配属される。16年間ファンドマネージャーを務め、2006年にセゾン投信を設立。年間150回に上る講演を行っており、メディアにも引っ張りだこ。

 

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