自宅でできる「漢方」生活!? 今日から実践できる漢方的な過ごし方
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2017.05.23シナモンやショウガ、ゴボウにニラといったおなじみの食べ物。これらの食材を使ってつくる料理やお茶、調味料などで、楽しく“漢方生活”を送ることができるのは、ご存知でしたでしょうか?実は私たちの身近にある“漢方”。漢方スタイリストとして活躍する吉田さんに、漢方の考え方や魅力についてうかがいました。
株式会社日々響 代表取締役、
文筆家
漢方スタイリスト
中医薬膳師
吉田 揚子さん
日本での独自の進化とアレンジが生み出した「漢方」
そもそも、「漢方」という言葉は、日本で生まれた言葉だそうです。「奈良時代ごろに日本に伝来した古代中国医学が、日本の風土や民族に適した独自の形へと整理されながら発達し、漢方と呼ばれるようになりました」と語るのは漢方スタイリストの吉田さん。オランダ医学を「蘭方」と呼んだことに対して、「漢方」と呼ばれるようになったそうです。
「養生」を大切にする漢方の考え方
「漢方」と聞いて多くの人が思い浮かべるのが、土瓶などでコトコト苦い薬を煎じる「漢方薬」ではないでしょうか。でも実は、「漢方は『なんでもかんでもすぐ薬』ではなく、まずは日々の暮らし方を改善することを大切にします。そのうえで、補助という形で漢方薬の力を借りるのです。毎日の食事やお茶などに漢方要素を取り入れることで、簡単に楽しくできる“漢方生活”がたくさんあります」と語る吉田さん。
その第一歩としてオススメなのが、日々の食から漢方を取り入れていくこと。「薬も食材も、もともとどちらも『食べ物』。先人たちが長い歴史の中で、食物としての価値が明確で主に空腹を満たすために食するものを『食材』とし、薬効が目立つものを『生薬』、食材と生薬の両方で使用できるものを『食薬』と呼んで暮らしのなかで役立ててきました。『生薬』は薬の範囲なので医師の処方が必要ですが、『食材』と『食薬』は上手に組み合わせていくいことで、私たちでも日常のなかで利用していくことができます」
漢方で考える食べ物の分類
漢方では、食べ物を3つに分類しています。
食材や食薬の役割を知り、季節や体の声に耳を傾けながら、日々の食事に意識的に取り入れていくことが「養生」の第一歩だと吉田さんは言葉を続けます。「ニンニク、ショウガ、シソなど、私たちの食卓によくのぼる薬味類は食薬であることが多いです。食材や食薬の役割を知り、自分に必要だと思うものを楽しみながら意識的に摂ることで、体のバランスが整ってきます。おいしいな、食べたいなと思うものは、体が必要としている場合が多く、旬のものがおいしいのも、その季節の体に合ったものが多いからと言えるでしょう」。実際、夏に旬を迎える野菜は体を冷やす働きがあったり、冬においしくなる根菜類は体を温めるなど、季節と食べ物の旬には深い関係がありそうですね。
代表的な食薬
※あくまでも一般的にいわれていることです。食べたくない、「おいしくない」と感じたときはその時の体に合っていないので無理に食べないようにしましょう。カッコ内は生薬名。
ナツメ(大棗/たいそう)
良い血を満たすことで精神の安定をもたらすとされます。胃腸機能も整えます。
ハトムギ(薏苡仁/よくいにん)
水分代謝を整えて体内の余分な熱をとるとされます。吹き出物やむくみにも良いとされます。
ニンニク(大蒜/たいさん)
血行を改善して体を温め、消化機能を助けるといわれています。胃が冷えて食欲不振になっている人にはぴったりの食材です。ただし食べ過ぎ注意。
ショウガ(生姜/しょうきょう)
体を温め発汗をサポートし、冷えを取り除くといわれています。香りは気の巡りも整えるのでイライラ予防にも。
シソ(蘇葉/そよう)
自律神経を整え消化の働きを助けるとされます。暑さと冷房のギャップから来る自律神経の乱れ・食欲不振の緩和に役立つとも。
シナモン(桂皮/けいひ)
血流を改善し、冷えからくる痛みに良いとされます。お馴染みの葛根湯にも配合されています。体に熱がこもりやすい人は取りすぎに注意が必要です。
ゴマ(胡麻/ごま)
黒ゴマは肝と腎に届いて加齢によるパワー不足改善に役立ち、白ゴマは五臓を潤し肌や乾燥肌や便秘改善をサポートするといわれています。
ニラ(韮子/きゅうし)
スタミナ料理に多く用いられるニラは、気血のめぐりを整え、腎の働きを助けて体を温めるとされます。
ゴボウ(牛蒡根/ごぼうこん)
元気を補い、気のめぐりを改善するとされます。体の余分な熱をさまし、熱からくる便秘改善にも役立つとされています。
漢方とは、より良く生きるためのライフスタイル
「“誰にでも良いもの”ではなく、“今の自分に一番良いもの”を教えてくれる漢方の知恵。手軽にたのしく、お茶や食べもの、暮らし方に気をつけていくことで、本来の自分に“戻っていく”ことができます。そんな“漢方のたのしさ”“漢方の本当の魅力”をつたえるのが漢方スタイリストの仕事です」と語る吉田さん。一般にイメージされる「漢方薬」や「体に良い食べ物」をただやみくもに取り入れるだけではない、「自分らしくより良く生きる術」としての漢方生活。あなたも始めてみませんか?
[お話しを伺った方]
吉田 揚子(よしだ・ようこ)
漢方スタイリスト、中医薬膳師、文筆家。「すこやかに、うつくしく、ゆたかに暮らす」をキーワードに日本漢方養生学協会認定の漢方スタイリストとして書籍や雑誌での執筆や監修、レシピ提供などを中心に活動。「五感で楽しむ暮らし」「ライフスタイルとしての漢方」の魅力を伝えている
きたかまくら日々響
北鎌倉駅から徒歩6分。吉田さんが代表を務める漢方茶屋。カフェとしてはもちろん、ワークショップや漢方ごはん料理教室なども開催されている。
http://www.kitakamakura-hibiki.com/
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