洗濯機は洗剤を使うから衛生面は心配ないかと思いきや、実は見えないところに黒カビがびっしりなんてことも!黒カビが発生すると、洗濯物から臭いがしたり、黒いポツポツとした汚れが付いたりします。今回は洗濯槽の掃除方法、黒カビ予防のための対策をご紹介します。
洗濯槽の掃除は定期的に!
その臭いの原因は「黒カビ」かも?
パッと見ではキレイに見える洗濯槽ですが、実は見えないところに臭いや菌を発生させる「黒カビ」がびっしりついていることもあります。洗濯したはずの衣類なのに嫌な臭いがしたり、茶褐色や黒いポツポツとした汚れが付着したりしたら、黒カビが発生している可能性があり、要注意です。洗濯槽の種類や季節によってもカビの発生度合いは違いますが、しっかりと除去しておきたいものですね。
黒カビが発生する原因は?
洗濯槽の外壁などに黒カビが発生する原因は、洗剤カス、垢や泥、ほこりなどに湿気が付着することといわれています。
カビの胞子は空気や土の中にも存在しているため、カビの胞子がたくさん付着した衣類を洗濯すると、カビは洗濯液中に広がっていきます。それが洗濯槽の外壁や、槽の底にある水流を起こすプロペラ状の部品(パルセータ)の裏側など、石けんカスや湿気の多い場所に付くと、湿度、水分、糸くずや皮脂などを栄養分にして成長していきます。
発生源と養分がそろった洗濯槽は、カビにとってとても住み心地のよい環境。できるだけ、このような環境を作らないようにすることが、カビの発生を抑えるポイントです。
徹底的にきれいにしたいなら有効な方法2選
洗濯槽を徹底的にきれいにしたいという方におすすめしたいのが、下記の2つを使ったお手入れ方法です。
衣類用漂白剤編
しつこい汚れには、「つけおき」もおすすめです。手軽な方法として、市販の「衣類用塩素系漂白剤」があります。手順は次の通りです。
1. まず、本体の電源を入れます。
2. 一番多い水量にセットして注水を開始します。
水量が50L程度なら洗剤約200ml、水量40Lなら洗剤約160mlを目安に衣類用塩素系漂白剤を投入。そのまま約10~12時間程度放置します。
3. 洗濯槽をすすぐため標準コースで1サイクル運転します。
洗濯槽クリーナー編
市販の洗濯槽クリーナーでしっかりきれいにするのもよいでしょうね。
1. まず、本体の電源を入れます。
2. 一番多い水量にセットして注水を開始します。
3. 洗濯槽クリーナーを入れます。
4. 「洗い」で2~3分程度運転します。
5. そのまま12時間程度放置します。
6. 洗濯槽をすすぐため標準コースで1サイクル運転します。
※詳しくは、洗濯槽クリーナーのご使用上のご注意に沿って正しくご使用ください。
※洗濯槽クリーナーはステンレス槽を傷めにくい成分のものを各家電メーカーで販売しています。詳しくは、取り扱い説明書などや各社ホームページでご確認ください。
タイプ別、洗濯槽の掃除方法
洗濯槽に付いたカビの掃除方法は、タテ型洗濯機とドラム式洗濯機によっても違います。
今回お話をうかがった日立アプライアンスの森島彰俊さんによると「日立では、『槽洗浄コース』という洗濯槽をお掃除する機能を搭載しています。タテ型、ドラム式ともに汚れや臭いが気になるときにご使用をおすすめしています」とのこと。メーカーによっても、洗濯槽のクリーニング機能が付いていることもあるので、それを活用してもいいでしょう。
ここでは、タテ型とドラム式それぞれに適した掃除方法をご紹介します。
【タテ型洗濯機】
市販の洗濯槽クリーナーなどを使用して「槽洗浄コース」を選択しスタートボタンを押してください。洗濯・脱水槽に蓄積された石鹸かすや汚れを洗い落とし、約30分間脱水してにおいを取ります。
(メーカーによってコースの名称や工程、所要時間は異なります。)
【ドラム式洗濯機】
ドラム式の場合も市販の洗濯槽クリーナーなどを使い、「槽洗浄コース」をご使用ください。洗濯・脱水槽に蓄積された石鹸かすや汚れを洗い落としてから、約40分間または1時間乾燥してにおいを取ります。また、一部の機種に搭載している「温水洗浄コース」ではにおいを取るのに有効です。
最近の洗濯機の多くには槽洗浄や「自動おそうじ」などの機能が搭載されています。
森島さんによると、洗濯のたびに洗濯槽の裏側などの見えない部分に付着しやすい汚れ(皮脂汚れ、洗剤カス、菌、黒カビの胞子など)を自動で洗い流し、除菌、黒カビを抑える「自動おそうじ」がおすすめです。この「自動おそうじ」を継続使用している場合は、洗濯槽クリーナーを使用したお手入れは3~4ヵ月に1回程度が目安だそうです。「自動おそうじ」を使用しない場合は、1〜2ヵ月に1回を目安にしましょう。
使わないで!部品別NG洗剤と掃除用具
ここでは、洗濯機の部品別に、使用しない方がいい洗剤や掃除用具についてご紹介します。
<本体のふた>
ふたは、柔らかい布でふき取りましょう。最近は、ガラス製のふたの製品も販売されていますが、薬品やガラスクリーナーなどは使用しないようにしましょう。周辺の部品がさびたり、破損したりすることがあります。
<洗濯槽>
金属たわしなど、硬いものは使用しないようにしましょう。洗濯槽を傷つける可能性があります。
<本体、洗濯槽、ドラム>
次のような薬品・洗剤は使用しないようにしましょう。 ベンジン、シンナー、クレンザー(粉末タイプ)、アルカリ性洗剤、弱アルカリ性洗剤、ワックス
また、どの家電メーカーも、酸素系洗剤でのお手入れは推奨していません。 台所用の中性洗剤や塩素系洗剤、弱アルカリ性である重曹や、酸性のクエン酸も同様です。中にはお酢を使用する人もいるようですが、JEMA(一般社団法人日本電機工業会)によると、お酢によるカビの発生防止効果は確認できない上に、洗濯機の金属部品を傷める危険性があるので、控えた方がいいでしょう。
見落としがちなお手入れポイント
洗濯槽の中には、糸くずフィルター(ネット)と呼ばれる、洗濯中に出た糸くずやほこりを回収する部品があります。
日ごろ、意外と放置していませんか?
理想は、たまったほこりを毎日捨てること。せめて1~2週間に1度は、お手入れするといいでしょう。
このほか、注水用のホースの中や液体洗剤の投入口なども、ときどき柔らかい布などでふき取ることも必要です。
日ごろから黒カビ対策!
洗濯槽の掃除を楽にするコツ2つ
日ごろからカビの発生を抑えるには、
・洗剤の使用量を守る
・洗濯機のフタを開けておく
この2つをおこなうことが大切です。
洗剤の使用量を守る
衣類の汚れ落ちがよくなるのでは、との思いから、ついついやってしまいがちなのが洗剤の入れすぎです。しかし、これは逆効果。洗剤を入れすぎると、洗い流しきれずに洗濯槽の裏側などにこびりついてしまいます。もちろん、柔軟剤も同じです。
洗濯機のフタを開けておく
洗濯機のカビの原因の1つは、機内の湿度の高さ。使用後にはフタを開けるようにし、洗濯槽を乾燥させることで、内部に湿気がこもることを防ぎます。
まとめ
洗濯槽は一見きれいに見えるので、普段はあまり気にせずに過ごしてしまいがち。近年は、共働き世帯の増加などから、天候を問わず1年中部屋干しをする世帯が4軒に1件もあるといわれています。部屋干しのときに発生するいやな生乾き臭は抑えたいですよね。その原因は洗濯槽のカビにあるかもしれません。定期的なお手入れで黒カビの発生を抑え、柔軟剤の香るお洗濯にしましょう。
お話をうかがった方
日立アプライアンス株式会社
国内商品企画部
主任
森島彰俊さん