EPAとは? 含有率の高い魚や食品、気になる効果について

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2018.06.22
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最近よく耳にする、青魚に含まれる油のEPAやDHA。体にとって無くてはならない成分であることをご存知ですか? DHAは、一時期「頭がよくなる」とブームになりましたが、科学的にも効果が実証され、医薬品としても利用されているのは実はEPAのほう。EPAの成分や摂取することによる体への効果、どのような食材から摂れるのかなどについてご紹介します。

EPAってどんな成分? DHAとの違いとは

EPA(エイコサペンタエン酸)とは、脂肪酸のうちオメガ3と呼ばれる成分で、これはヒトが体内で作ることができないものです。EPAをもともと持っているのは、海に住んでいる生物だけ。植物プランクトンなど、海に生息する生物の体内で作られ、食物連鎖によってさまざまな生物にEPAが取り込まれていっているのです。

青魚のイメージ

DHA(ドコサヘキサエン酸)も、EPAと同様のオメガ3脂肪酸に分類されます。よく「頭にいい」「脳にある」と言われていますが、脳が成長する時期の胎児や子供にとても重要な栄養素であること以外、分かっていないことも多く、今後の研究が待たれています。

EPAとDHAは原料となる青魚の油には両方含まれているため、この油から作られている市販のサプリメントのほとんどには、両方が含まれています。

DHAは体内であまり消費されず一定量が保たれていると考えられていますが、EPAは体内でどんどん消費されてしまうため、継続的に摂取することが大切です。お金をかけるなら、DHAよりもEPAといえます。

EPAの効果4つ!
動脈硬化進展を遅らせ運動時の疲労回復にも

EPAには、下記のような効果が主にあるとされています。

  • 動脈硬化の進展を遅らせてプラークを退縮。血管の壁や赤血球の膜が柔軟になる
  • 血中の中性脂肪を低減する
  • 抗炎症作用
  • 抗アレルギー作用

上記について、それぞれ詳しく紹介します。

・動脈硬化の進展を遅らせ、プラークを退縮。血管の壁や赤血球の膜が柔軟になる

赤血球のイメージ

EPAは血管の壁や赤血球の膜にしみこんで、それらをより柔軟にするはたらきがあり、血流をサラサラにしてくれます。

よく「血液がどろどろ」という表現を使いますが、もともと赤血球は毛細血管の太さよりも大きく、血管の壁や赤血球のしなやかさが失われると血圧が上がったり、血流が悪くなり、それが改善されると血流がよくなります。またEPAはプラークと呼ばれる、血管に生じる「コブ」のようなものを小さくする働きもあります。

・血中の中性脂肪を低減する

EPAは、血中の中性脂肪の分解や、中性脂肪を作らないようにするはたらきがあります。EPAを摂ることで、血中の中性脂肪を低減することができるのです。

・抗炎症作用

マーガリンのイメージ

EPAの成分であるオメガ3を含む必須脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)には、コーン油やマーガリンなどに含まれるオメガ6という必須脂肪酸もあります。このオメガ6の代表的な脂肪酸のひとつに、炎症を促進する働きのあるアラキドン酸(AA)があります。これを多く摂りすぎるとその働きが嵩じて、ひいては生活習慣病の原因となります。

これに対して、EPAは炎症を抑える働きがあり、体内のEPAとAAをバランスよく保つことが大切です。

・抗アレルギー作用

アレルギーのイメージ

EPAを摂取すると、花粉症の症状が軽くなったとの研究結果も報告されています。

また、このほかにも、継続的に摂取していると、運動してもばてにくくなったり、筋肉痛も軽減されるなど、疲労の回復が早くなると言われています。

これは、EPAの血液の流れを促すはたらきによって体全体への酸素の供給がスムーズになったり、抗炎症作用が筋肉痛をもたらす筋肉の炎症を軽減するためです。EPAを積極的に取ることで、持久力アップも見込めるとされています。

EPAを含む青魚トップ5!

健康的な体に欠かせないEPA。主に魚介類から摂取できることが分かっています。特に含有量の多い食品は、一般的に「青魚」と呼ばれる魚。そのトップ5をご紹介します。

※数値は、可食部100gあたりのEPA含有量

・マイワシ1381㎎
・本マグロ(トロ)1288㎎
・サバ1214㎎
・マダイ(養殖)1085㎎
・ブリ(天然)899㎎

出典:「日本食品脂溶成分表」科学技術庁資源調査会編(1989年)

マイワシがダントツの含有量ですね。鮮度がよく、脂がのった旬の時期は、より多くEPAが含まれています。魚の脂にはEPAとDHAの両方が含まれていますが、DHAよりもEPAが多いのはマイワシだけです。旬の時期には積極的に摂取したいですね。

理想的な1日の摂取量は?

では、1日にどのくらいのEPAを摂取するのが理想的なのでしょうか。その目安は0.9g以上といわれています。

前述のとおり、EPAを特に多く含む食材としてマイワシを挙げましたが、それでもEPAの含有量は100gあたり1381㎎。マイワシを3尾摂っても、達成するのはなかなか難しそうですね。多くのサプリメントが出回っているのは、食事での摂取が難しい量のEPAを手軽に摂れるから。青魚を使った料理とサプリメントを、上手に使い分けるといいかもしれません。

EPAを効率よく摂取するための調理法

ぶり煮のイメージ

EPAは、酸化しやすい成分。やってしまいがちなのが魚の冷凍保存ですが、実は、冷凍しても油の酸化は防げず、EPAも時間の経過とともに損なわれてしまいます。

鮮度がよいうちにお刺身など生でいただくのがお勧めですが、揚げると揚げ油に溶け出てしまったり、焼くと流出してしまうので、蒸したり、煮て煮汁と一緒に食べるのが効率のいい摂取の仕方と言えそうです。
また、缶詰の場合はスープごと調理して食べれば、EPA無駄にすることなく摂れるでしょう。

EPAをおいしく取ろう!おすすめの青魚レシピ

では最後に、EPAを取るために、おすすめのレシピを3つご紹介します!どれも簡単に作れるので、ぜひ実践してみてください。

<ぶりのカルパッチョ>

野菜もたっぷり取れるカラフルなカルパッチョ。ワインなどお酒との相性もばっちり!材料を切って乗せるだけで完成です。
調理時間:10分
1人分あたりのEPA:705mg
1人分あたりのDHA:1,275mg

ぶりのカルパッチョ
■材料(2人分)
ぶり(刺身用)150g
水菜1株
たまねぎ1/6個
パプリカ(赤)15g
パプリカ(黄)15g
★しょうゆ小さじ2
★バルサミコ酢小さじ2
★オリーブオイル大さじ1/2
■作り方
  • ぶりは7mm厚のそぎ切り、水菜は4cmの長さに切ります。たまねぎはスライサーなどで薄切りにし、10分ほど水にさらします。パプリカはあられ切りにします。
  • 皿に円を描くようにぶりを並べ、真ん中に水菜と水気をきったたまねぎを盛り付け、ぶりの上にパプリカを散らします。
  • ★を混ぜ合わせ、(2)に回しかけます。

ワンポイント
・水菜の他に、ベビーリーフなどの葉物を添えてもいいでしょう。
・かつおやまぐろの刺身のアレンジも可能です。

<さば缶詰の冷や汁>

暑い時期にもぴったり!さらっと食べられる冷汁で栄養補給はいかがですか。さばの缶詰を使うので、調理の手間も省きながらEPA・DHAを効率良く摂れます。
調理時間:10分
1人分あたりのEPA:884mg
1人分あたりのDHA:1,235mg

さば缶詰の冷や汁
■材料(2人分)
さばの水煮缶詰1個(190g)
きゅうり1/2本
少々
ごはん茶碗2杯
みょうが1個
大葉4枚
★だし汁(冷たいもの)200ml
★みそ大さじ1
★すりごま大さじ1
■作り方
  • きゅうりは薄い輪切りにし、塩もみして水気をよくしぼります。みょうがと大葉はせん切りにします。
  • ボウルに★を入れてよく混ぜ合わせ、(1)とさばの水煮缶詰を汁ごと加えて、ほぐしながら混ぜ合わせます。
  • 茶碗にごはんを盛り、(2)をかけて、みょうがと大葉を添えます。

ワンポイント
・缶詰はあらかじめ冷やしておきましょう。
・みそ煮の缶詰を使って調味料のみそを省略したり、わさびを添えるなどのアレンジもできます。

<いわしのアヒージョ風>

いわしのEPA・DHAがオイルに溶け込んだ、オシャレなおつまみ。バゲットにつけて、または残ったオイルをパスタに使って、ムダなくいただきましょう。
調理時間:15分
1人分あたりのEPA:720mg
1人分あたりのDHA:780mg

いわしのアヒージョ風
■材料(2人分)
いわし(3枚おろし)2尾分
ブロッコリー1/4株
生マッシュルーム4個
にんにく1片
ドライトマト4切れ
オリーブ油100ml
白ワイン大さじ4
黒こしょう(あらびき)少々
パセリ(みじん切り)少々
バゲット(スライス)適宜
■作り方
  • いわしは一口サイズに切ります。ブロッコリーは小房にし、生マッシュルームは半分に切り、にんにくはつぶします。
  • 直径約16cmの耐熱容器に(1)とドライトマトを入れ、具材が浸るまでオリーブ油を入れ、予熱したオーブントースターで5〜6分間加熱します。
  • (2)に白ワインを加えてさらに4〜5分間加熱し、黒こしょうとパセリをふり、バケットを添えます。

ワンポイント
・ドライトマトの代わりに、生のミニトマトを使ってもいいでしょう。
・野菜はズッキーニ、たまねぎ、セロリなど、きのこはお好みのものに代えてもいいでしょう。
・アジやサンマでアレンジも可能です。

■

まとめ
血液をサラサラにするはたらきがあるEPA。特に多く含まれている青魚を継続的に摂る食生活にしていきたいですね。「さばいて調理をするのが面倒」という方も、缶詰などを上手に使って積極的に摂取して、血液の健康から体の健康につなげましょう。

お話をうかがった方
日本水産 CSR部広報課 担当課長
杉田由紀さん

ウェブサイト
http://www.nissui.co.jp/corporate.html

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