クックパッド料理教室 講師 金森麻由子さん

HUMAN

2016.12.19
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クックパッド料理教室でアメリカ料理を中心に教えている金森さん。「好きなこと」を仕事にする喜びや、今後の夢についてうかがいました。

クックパッド料理教室
桜新町教室
金森 麻由子さん

料理上手だった母の存在が原体験になっている

――料理教室を開くまでの経緯は?

そもそも私の料理の原体験は料理上手だった母の存在です。子どもの頃から母と一緒に台所に立ってコロッケの衣をつけたり餃子を包んだり…。でも、当時はまさかそれを仕事にするとは思いませんでしたね。私が入学した高校は大学進学率が100%の進学校でしたし、大学卒業後も一般企業に就職するんだろうな、というのが当時想像していた自分の将来でした。

――卒業後は、どのような進路に?

学生時代に1年間、シカゴに交換留学に行った経験があり、漠然と「英語を使う仕事に就きたい」と考えました。そこで、海外でも事業を展開する自動車部品メーカーに就職し、海外関連会社の管理を担当することに。とはいえ、自動車に特に興味があったわけでもありませんし、女性がキャリアアップできる環境でもありませんでした。その後、銀行に転職し法人融資関係の業務に従事したりもしたのですが、忙しい日々のなかでも料理は常に好きでしたね。結婚した夫の海外赴任を機に銀行を退職しニューヨークへ。駐在員の家族というと、日本人同士で集まり、日本語の通じる世界だけで生活するイメージがありますが、せっかくのアメリカですし、私は外に出て英語を使いたかったんです。日本の銀行員時代の縁もあり、ニューヨークでも日系の銀行に勤めることができたのですが、言葉の壁は高かったですね。留学経験もあったので英語にはそれなりに自信がありましたが、就労ビザの申請といった事務手続きや就職後に接したネイティブ同士が電話会議でする聞き取りづらい英語など、苦労の連続でした。特に大変だったのは出産ですね。制度の関係で、外国人は所属している会社の加入している保険の種類によって保険が適用される病院が限られます。私が選べる病院には日本人のドクターがおらず、不安を感じることもありました。

――日本とアメリカの、企業の違いは感じましたか?

日系企業ではありましたが現地社員も多く、個人主義の空気や常に自己アピールが求められる雰囲気など、社内では多分に“アメリカらしさ”を感じましたね。忙しい時は真夜中まで働く過酷な勤務の中で子育てをしていく自信がなく、出産を契機に退職を決意しました。それとは反対に強まってきたのが、料理に対する熱意かな。現地の食材を使って日本料理を再現したり、食べたことのない野菜に挑戦したりとだんだんと楽しむ方向にいきました。アメリカは、人種のるつぼと言われるほど、さまざまなバックグラウンドをもった人が暮らしており、街中で提供される料理も多種多様です。そんな中で、アメリカ料理の魅力にも惹かれていきました。

――ニューヨーク在住中に料理教室に通ったりは?

いくつか料理学校を調べもしたのですが、ニューヨークにある料理教室はフレンチやベジタリアン向けなどジャンルが限られていてあまり食指が伸びませんでした。そんな中で夫が仕事の関係で日本に戻ることにもなり、和洋中の料理はもちろん製菓・製パンまで学べる服部栄養専門学校に通うことに。これは、私の人生で一番勉強した時期でしたね(笑)。子どもを保育園に預け、週6日、朝から夕方までみっちりと勉強…。特に「料理教室を開きたい」という夢があったわけではないのですが、1年間かけて調理師免許も取得することができました。

――料理が好きだからこその熱意ですね。
その後は、どのように料理と関わるようになったのですか?

ランチ中心でレストランで働いたり、大手料理教室でアシスタントをしたり…。今の、自宅で料理教室を開く形に落ち着いたのは、自分でレッスンのスケジュールを決められる点が決め手でしたね。東急線沿線はアクティブなユーザーも多くお住いなので、おかげさまで教室は毎回盛況。単に料理を勉強するだけの場としてではなく、生徒さん同士のコミュニケーションの場としても喜ばれています。生徒さんには会社員の方も多いので、自分が会社員時代に身に着けたマナーや思考は非常に役立っていますね。自分の経験は、何事も無駄じゃなかったと、強く実感しています。

もっと違う形の料理教室に挑戦してみたい

――料理教室では「アメリカ料理」など、
他では見ない個性ある講座を開いているんですよね。

一口に「アメリカ料理」と言っても、多種多様な人種が住むアメリカでは、料理もさまざまです。イタリア移民が伝えたピザがあれば、トルコ系が広めたエスニックな料理からアメリカ風にアレンジされた中華料理まで、とにかく幅が広いので講座ごとに「今回はニューヨーク風の料理」「トルコ系の料理」といったようにテーマを絞っています。料理教室を始めて1年半。当初は生徒が1人しか来ないようなときもありましたが、今ではおかげさまで料理教室以外でもケータリング用の調理や雑誌やテレビのお仕事などもいただけるようになりました。落ち着ける自宅で、好きなことを仕事にできるのは、とても幸せだと実感しています。

――今後の夢についても、教えてください。

子育てがひと段落したら、別の形で料理教室を開くなども興味があります。自宅以外の外部の施設で大人数向けの料理教室を開催したり、男性や親子連れでも楽しめる講座を開いたり…。直近では、外国人向けの料理教室の開催を予定しています。当日の講義やレシピはもちろん英語。外国人に喜ばれそうなメニューと英語での講義を今から研究中です。

[聞き手から]


「幼少の頃から料理好きなお母さんの手伝いを経験するうちに金森さんの料理に対するアイデンティティが確立されたのだなと感じます。一般的に好きなことを仕事にするのは『言うは易く行うは難し』ですが、「会社員には向いていない」との言葉とは裏腹にコミュニケーション能力に優れた接客が利用者に好感を持たれるのでしょう。それは、教室の口コミ数と内容にも表れています。今後の活躍がますます楽しみです。

クックパッド料理教室 桜新町教室
https://cookstep.cookpad.com/schools/9170

東急ベルの情報誌『家ナカ』にも登場いただきました!

東急ベルの情報誌『家ナカ』第10号では、金森さんに砂糖を使ったしょうが焼きのレシピを紹介していただきました。

ごはんがススム絶品!砂糖を使ったしょうが焼き

材料

豚ロース肉(厚切り) ・・・・・・6枚(380g)
砂糖・・・・・・小さじ2
お酒・・・・・・小さじ1
生姜のしぼり汁・・・・・・小さじ2
油・・・・・・適量



タレ

醤油・・・・・・大さじ2
酒・・・・・・小さじ2
みりん・・・・・・大さじ2
砂糖・・・・・・大さじ1
生姜のすりおろし・・・・・・20g(お好みで調整)

作り方

❶肉の両面に、砂糖をまぶし20~30分置く。お肉は、脂身と赤身の境に数カ所切れ目を入れておくと縮みません。
❷①にお酒と生姜の絞り汁を加えて、さらに5~10分置く。
❸キッチンペーパーで軽く水気を取る。こうすることで、カリッと仕上がる。
❹フライパンに油を熱し中火で両面を2分ほどサッと焼いて焦げ目をつけて一度取り出す。

❺タレの材料をすべて入れて煮詰めたところに、肉を戻してからめる。

POINT

砂糖で肉を柔らかく!
特売で買ったお肉だって、砂糖をまぶせばとっても柔らかく変身! 砂糖には、肉に含まれているたんぱく質と水分とを結びつける働きがあるんです。

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