料理愛好家 平野レミさんインタビュー

HUMAN

2017.12.05
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ユニークな料理と明るい笑顔で見る人を引きつける料理愛好家・平野レミさん。自由闊達でいつも笑顔の印象がある平野さんには、自分らしく正直に過ごす処世術があるようです。シャンソン歌手からの転向や、揚げずに作る「食べたらコロッケ」が生まれた背景などについてもうかがいました。

料理愛好家
平野レミさん

人気レシピは固定観念に捉われない発想から生まれる

―― 平野さんと聞くと、まずイメージするのは明るいキャラクターです。

自分では明るいなんて思っていませんよ。ただ声を大きく出しているから。声が大きいのはちゃんとご飯を食べているからだと思います。

―― 健康でいるための秘訣はあるのですか。

素材から買ってきて、イチからちゃんと作ることですね。調味料も自然のものを使うようにするなど、気をつけています。
ぐっすりと睡眠をとるのも好きです予定がなければ、目覚ましをかけずに起きたいときに起きることもあります。庭の草刈りをしたり、家にいると、やることはたくさんありますよね。

― 平野さんのお料理はとても大胆ですよね。
揚げずに、コーンフレークでサクッとした食感をつけた
「食べれば(ごっくん)コロッケ」も話題でした。

「食べればコロッケ」は35年くらい前に誕生した料理です。子どもが小さいときに「お母さん、夕飯はコロッケがいい」と言われたけど、やることがたくさんあって、作る時間がなかった。そこで、ごっくん(飲み込む)するときにコロッケの味わいがあればいいかなと。いざ食卓に出したら「お母さん、これコロッケじゃないよ」と言われたけれど、ソースをかけて食べさせたら、「ほんとにコロッケだ!」って。

―― 固定観念に捉われない発想が大切ですね。

「こうでなければダメ」っていう考えがないですね。帳尻が合えばいいと、緩やかに考えています。仕事もやり、子育てもやり、好きなこともやる。そうしたら、一日中キッチンに立っているわけにはいかない。効率を上げるためにはどうすればいいか、というのが料理にも反映されているんだと思います。仕事じゃなくても、家でいかに快適に過ごすかというのを考えるのも大好きですね。楽しみを見つけながら工夫しています。

――― 人は「他人にこう見られたい」としばられてしまうことが多いと思いますが、
平野さんにはそれがあまりないのでしょうか。

私の財布はジップロックなんですよ。透き通っているから、お金が見えるでしょ。自分に便利なことはぜんぶ実践するの。人の目なんて何も気にしない。私は私の人生。人にどう思われようと私はこれでいいの。

―― そういう考え方も健康につながりそうですね。

はい。あまり自分にプレッシャーをかけないほうがいいですよ。楽にね。

歌にはない「五感をフルに楽しませる力」

―― シャンソン歌手から、
料理愛好家にキャリアチェンジされたのは、
どのようなキッカケがあったのですか。

歌うとすごく気持ちがいいし、達成感もありますが、そのためには勉強もたくさん必要。歌詞を覚えて、化粧もドレスもそろえて、と、やることがいろいろある。拍手をもらうまでの気苦労みたいなのものもあって。 そういう意味では、お料理には気苦労はない。作ったものをたくさんの人とシェアしながら、自分も一緒に食べれるし、その場でおいしいと言ってもらえると、心からよかったと感じられる。音楽は耳からの楽しみだけど、お料理は五感をフルに楽しませてくれるところが魅力ですね。

―― より楽しめるほうに導かれたのでしょうか。

「こうでなければダメ」っていう考えがないですね。帳尻が合えばいいと、緩やかに考えています。仕事もやり、子育てもやり、好きなこともやる。そうしたら、一日中キッチンに立っているわけにはいかない。効率を上げるためにはどうすればいいか、というのが料理にも反映されているんだと思います。仕事じゃなくても、家でいかに快適に過ごすかというのを考えるのも大好きですね。楽しみを見つけながら工夫しています。

―― 好きな音楽がプレッシャーになったできごとがあったのですか。

食事をしながらみんなでわいわい大声で楽しく過ごしていたときのことです。急に声がガラガラになって出なくなっちゃった。コンサートを控えていて歌の練習をしなくちゃいけなかったのに。その時、ああ、もう歌を続けていくことは難しいなと思いました。

SNS活用で若い世代に料理の楽しみ伝えたい

―― LINEやTwitterなど、SNSも活用されていますね。

LINEは、「簡単でいいから料理は素材を買って自分で作ってみてほしい」と伝えたいという思いで始めました。サラダひとつでも、できあいのものを買ってきて食べるのが普通になっているけれど、作る楽しみや味わいがあるんです。料理を紹介することで、フォロワーのみなさんも自分で作ってくれて、写真もアップしてくれる。私もうれしくなります。
twitterでは140字レシピもやっています。若い方たちからは「レミは雑だけどおいしい」って言われてね。今度は「レミの雑うま料理」とでも名乗ろうかしら(笑)

[聞き手から]

ユニークな言動に注目されがちな平野さんですが、料理に対する深い愛情を感じられたインタビューでした。「簡単でもいいので、素材から作ってほしい」というメッセージは、SNSを通じて若い世代に着実に伝わっているようです。また、大きな声と屈託のない笑顔で「人生一度きりなので好きに生きなきゃつまらない!」という言葉も、妙に納得するものでした。

平野レミさん

料理愛好家。 “シェフ料理”ではなく“シュフ料理”をモットーに、テレビ、雑誌で数々のアイデア料理を発信。人間ドックで「5年間来なくても大丈夫です」と言われるほど健康な体を武器に、講演会やエッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案。また、各地の特産物を使った料理で全国の村おこしにも参加。シャンソン歌手としての顔も持つ。

オフィシャルWEBサイト
https://remy.jp/

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