漢方は難しくない!日々の食事に取り入れて病気を遠ざける体づくり

BEAUTY & HEALTHY

2017.10.04
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 「漢方」と聞いて、難しそう、高そうと感じるのなら、それは「漢方薬」をイメージしているからではないでしょうか。漢方とは、古くから伝わる、体にいいことを取り入れるための知恵のようなもの。食を通じて漢方の効果を取り入れ、病気に強い体づくりや、冷え、ほてりなどの軽減などにつなげましょう。

 「漢方」と聞くと、多くの人がイメージするのは生薬や漢方薬ではないでしょうか。そのため、「難しそう」、「高そう」と、なんとなく敬遠し、自分の生活からは遠い存在に感じてしまっているのかもしれません。

 漢方薬や生薬だけが漢方ではありません。ツボ押しや薬膳、鍼灸、気功なども漢方に含まれます。身近なものでは、私たちが日ごろ口にしている、野菜などの食べ物にも、漢方の効能が含まれています。漢方とは、体にとっていいことを取り入れるための、古くから伝わる知恵のようなものなのです。
 今回は、漢方の基礎知識と、日常の食事で取り入れられる体づくり「食養生」の基礎知識を紹介します。

体の調子を整え未病をいやす

漢方では、「一に養生(ようじょう)、二に薬」と考えます。
 養生とは、生命を養うこと、つまり健康に気を配り、病気にならない体づくりをすることです。養生することで、病気になる前の段階である「未病」が、病気に発展してしまうのを防ぐことにつながります。

 しかしながら、漢方も養生も、何か特別なことをするような遠い存在ではなく、私たちの生活の中にすでにあるものです。普段の食事やお茶、運動や休養の仕方などに漢方の考え方を取り入れるだけでいいのです。
漢方では、「薬食同源」、日ごろの食事は薬と同じであるという考え方があります。別の見方をすれば、間違った食事のしかたは、薬の使い方を間違えたのと同じことで、体に悪い影響を与えかねないとも言えるでしょう。食を通じて養生することを「食養生」といいます。

体調に合わせた取り入れるべき食材

 まず、漢方の考え方のベースには「陰陽論」があります。森羅万象は陰と陽に分けられると解釈する理論です。陽には、明るく暖かく活動的なものが、陰には暗く寒く静かなものが含まれます。
 この陰と陽は、互いに対立し依存しながら、常にバランスを取って共存しています。病気になったときは、この陰陽のバランスが崩れたときだと捉えられます。裏を返せば、病気を治すためには、陰陽のバランスを回復すればいいというわけです。

 では、具体的にどのような体調のときにどのような食材を体に取り入れたらいいかを見ていきましょう。



 漢方では、食材を「寒」・「涼」・「温」・「熱」と4つの性質に分けています。

 寒と涼は、体を冷やしたり、鎮静させる食材で、陰に属します。一方、温と熱は、体を温めたり、興奮させるとされ、陽に属します。
 このほかに、陰・陽どちらにも属さず、食材のはたらきが比較的穏やかなものを「平」としています。

 陽に属する食材は、香辛料や香味野菜に多いです。体が冷えやすい人は、陽に属する食材を積極的に取るといいでしょう。
 ほてりやすい人は、陰に属する食材を取るようにすれば、体をクールダウンすることにつながります。ゴーヤやバナナなど、温かい地域で栽培される野菜や果物に多いです。

 ただし、これらは一例であり、取り入れたところでその人に合うかどうかは個人差があります。テレビなどでよく注目される「○○ダイエット」のように、特定の食材をある方法で取り入れることで万人に効果がある、とする考え方とは異なるのです。
 たとえば、便秘気味の人が「便秘にはバナナが効果がある」と聞いて積極的に摂るようにしたとしても、もし便秘の原因が冷えによるものだとすれば、逆効果になってしまいます。
食材を選ぶほか、調理方法も工夫するといいでしょう。

自分の体質や体調を知るチェックシート

 体質や体調にも陰陽があり、一日や季節によっても陰陽は変化します。自分自身の体質の傾向や、その日の体調、一日の時間帯や季節などに応じて、食材や調理法を考えましょう。

 下記は、自分の今の体の状態を知るのに使えるチェックシートです。陰に傾いている(陰の項目のチェックが多い)場合は陽の食材を取り入れる、陽に傾いている場合は陰の食材を取り入れるなど、その日の献立を考えるのにも活用してください。



漢方のちょっとした知識があれば、「なんだかだるい」といった、不調な時でも、病院や薬に頼ることなく、病気に発展させることなく自分で健康な体を保つことができるようになるのです。「食養生」を実践して、病を近づけない体にしていきましょう。

お話をうかがったかた

薬日本堂漢方スクール講師
原口徳子先生

家族の上海駐在中に「人と社会に貢献する新しいことを始めたい!」と一念発起し、かねてから興味のあった中医学を足掛け7年勉強。中国の中医師の資格を取得した。現在は漢方について初心者にも分かりやすく紹介するセミナー講師などを務めている。

〈薬日本堂漢方スクール〉
漢方初心者の方も気軽に参加できるワンデイセミナーから本格的に学べるコースまで多彩な講座を取り揃え、健康維持をサポート。漢方スタイリストや漢方カウンセラーの資格も取得できる。品川・大阪・仙台の3箇所に展開。
http://www.kampo-school.com



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