漢方スタイリストに聞く! 夏にオススメしたい簡単作り置き“漢方×調味料”4選

BEAUTY & HEALTHY

2017.06.30
アイキャッチ画像

季節の変化や自分の体と向き合い、食材のもつ性質を上手に日々に取り入れながら丁寧に暮らすことを大切にする「漢方」。中でも、食べ物でもあり薬としても使われることもある「食薬」の存在は、私たちの生活において取り入れやすい“漢方生活”の要素のひとつ。これから夏本番を迎えるにあたり取り入れていきたい代表的な食薬について、漢方スタイリストとして活躍する吉田さんにうかがいました。
漢方の基礎知識についてはコチラ

株式会社日々響 代表取締役、
文筆家
漢方スタイリスト
中医薬膳師
吉田 揚子さん

旬のものがおいしい理由

「漢方では、ストレスなどがかかっていないニュートラルな状態のときに、『食べたいな』『おいしいな』と感じる食材は、その時の体が求めているものである場合が多いとか考えます」と語る吉田さん。これからの季節は、余分な熱や湿が体内にこもりがち。夏に旬を迎えるゴーヤやトマト、枝豆やスイカといった食材は、そんな体のアンバランスを整えてくれる食材であることは、よく知られています。「旬のものをおいしく感じるのは、その季節の体調に合った食材が多いからかもしれませんね。あれはだめ、これはだめ、と食べ物や暮らしに制限をかけるのではなく、『体の声を聞き、季節と向き合いながら、整えていく』というのが漢方の考え方の魅力のひとつです。とはいえ、人によっては夏であっても体が冷えてしまう人もいます。自分がいま、どんな状態なのかを見極めながら、旬のものを上手に取り入れていくようなイメージで気軽に漢方生活をたのしんでみてください」。

「湿気」と「暑さ」からくる夏の体調不良

夏は過剰な暑さや湿気、冷房による冷えなどで体調を崩しやすい季節。漢方においても、梅雨の時期の「湿邪」と夏本番時の「火邪」、つまり湿気と暑さによるトラブルが起きやすい季節とされています。

「湿邪」によるトラブル

梅雨などのじめじめした季節は体のなかに水分とともに疲れなどが体内に溜まりがち。湿度が苦手な脾のバランスが崩れやすい季節です。漢方における「脾」は、胃と共に飲食物を消化吸収して全身に運搬する臓器の機能のことを指します。脾胃が弱まることで食欲不振や倦怠感につながります。

「火邪(暑邪)」によるトラブル

暑い夏は、多汗により体の水分が過剰に奪われてしまいがちな季節。熱で頭が働かずにぼーっとしたり、皮膚が日焼けで赤くなってしまったりなどのトラブルも起きやすい。体から水分が失われて熱がこもると、暑さが苦手な「心」にも負担がかかると言うのが漢方の考え。汗のかきすぎることで、動悸やめまいがおきてしまうこともあります。

どちらも、夏に起きやすい症状ですね。漢方のもとになっている中医学は、長年の人々の経験を積み上げて構築されてきた学問、思わず「なるほど」と頷いてしまうような内容です。「過湿による胃腸の不振や熱による心の乱れは、さまざまな体調不良につながります。これからの時期は湿邪・火邪(暑邪)が引き起こす症状に注意し、健やかな生活を送りたいものですね」と吉田さん。そこで、夏の体調管理に役立つ “漢方調味料”を教えていただきました。基本はどれも、清潔な瓶などに調味料と材料を入れて漬けておくだけの簡単アレンジです。

夏に起きやすい体調不良に!
日々の食卓に漢方の力を取り入れた調味料を

夏は食欲が落ちる…
そんなときは、気の巡りを整え胃腸の働きを助ける「塩×陳皮」

ミカンの皮を乾燥させた陳皮は、気の巡りを良くし胃腸の働きを助けると言われています。粉末にした陳皮を塩に混ぜておくことで風味豊かなオリジナルソルトが。爽やかな香りで食欲もアップします(塩分のとりすぎには注意を)。

夏バテで疲れた体に…
血を綺麗にし疲れを取る「酢×ナツメ」

体の疲れを取るお酢とよい血を満たすといわれているナツメは相性抜群。ナツメの甘みがお酢をまろやかにするので、はちみつなどと一緒に漬け込んでフルーツ酢にし、ビネガードリンクとして楽しむのもオススメ。

日焼けなどで肌にダメージを受けたら…
アンチエイジングに「醤油×クコ」

体の疲れを取るお酢とよい血を満たすといわれているナツメは相性抜群。ナツメの甘みがお酢をまろやかにするので、はちみつなどと一緒に漬け込んでフルーツ酢にし、ビネガードリンクとして楽しむのもオススメ。

女性の大敵!過剰冷房で体が冷えてしまわないように…
夏冷え対策に「蜂蜜×ショウガ・桂皮」

ショウガと桂皮(シナモン)だけでなく、実は蜂蜜も漢方では胃腸を整えるなど体に良いとされる食材のひとつです。体を温めるショウガ・桂皮を漬け込んだ蜂蜜を温かい紅茶に入れて、冷房などによる冷えを予防しましょう。

※おいしいと思えない、気持ち悪くなるなど、体調に合わない場合は、使用しないでください。

漢方生活を楽しむコツは、無理なく日々の暮らしに“漢方の考え方”を取り入れることです。そして楽しむことです。日常的に使う調味料に食薬を加えてみるなど、手軽に漢方生活を楽しむ方法はいろいろありそうですね。「“この食べ物はこれに効く”ということだけが重要なのではなく、自分の体自体に関心をもち、“意識してとりいれていくこと”こそが、大切なのかもしれません」。さまざまな力が秘められている、私たちの身近にある食べ物。それを知り、組み合わせを考えるだけでも楽しいですよね。食べ物の持つ力をうまく利用し、毎日をより良く快適に過ごしていきましょう。

[お話しを伺った方]

吉田 揚子(よしだ・ようこ)
漢方スタイリスト、中医薬膳師、文筆家。「すこやかに、うつくしく、ゆたかに暮らす」をキーワードに日本漢方養生学協会認定の漢方スタイリストとして書籍や雑誌での執筆や監修、レシピ提供などを中心に活動。「五感で楽しむ暮らし」「ライフスタイルとしての漢方」の魅力を伝えている

きたかまくら日々響

北鎌倉駅から徒歩6分。吉田さんが代表を務める漢方茶屋。カフェとしてはもちろん、ワークショップや漢方ごはん料理教室なども開催されている。

http://www.kitakamakura-hibiki.com/

pagetop