ワインの健康効果と適切な飲み方! 選ぶなら赤白どちら?

BEAUTY & HEALTHY

2018.10.08
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ワインには原料のぶどうに含まれるポリフェノールなどの複合的な成分によって心疾患や脳疾患、他にもアンチエイジング作用などが期待できます。それには「適量を適度に」飲むのがポイント。近畿大学の山田秀和先生にワインの効果や正しい飲み方をうかがいました。

ワインは健康飲料!?
心疾患などの予防に効果あり?

ワインは健康飲料!?

「酒は百薬の長」ということわざがあります。ワインはぶどうを主原料とするアルコールで、特に赤ワインにはポリフェノールやアントシアニン、他にもタンニンやカテキン、カリウム、エラグ酸といった成分の複合的な効果とアルコールによる血流の改善から、次のような健康効果が見込めるといえます。

・心血管疾患・脳血管障害の抑制
・心不全の発症予防
・糖尿病の発症予防

また、さまざまな研究結果から、認知症(アルツハイマー)の予防、ヘリコバクターピロリ菌の抑制、がんの抑制、更年期障害の症状の緩和、美肌効果やしみや肝斑かんぱんなどの無色化などの効果がある可能性も出てきています。
「どの成分がなににどれほどの効果がある」とはっきりとした裏付けがあるというより、現時点ではそれぞれのエビデンス、評価、見解としてのランクが違うことから、複合的な要素で効果が期待されていると考えた方がいいでしょう。

健康で選ぶなら、赤ワイン!その効果について

健康のためにワインを飲み始めるなら、赤ワインがおすすめです。
白ワインやココアなどと比較すると、黒ぶどうから作られる赤ワインにはポリフェノールが多く含まれているといえます。
赤ワインは産地や熟成度合いもさまざまでポリフェノールの量も一定とはいえませんが、ボトルでの熟成度合いは5年程度経過したものがよいとか、ポリフェノールの量でいうとカルベネ・ソービニヨンがよい、他にもポリフェノールの一種で長寿などの効果が期待できるといわれたレスベラトロールの量に限定するとピノ・ノワールという品種ものがよいなどといわれることもあります。
ちなみに、骨を強くする効果やヘリコバクターピロリの抑制、腸の動きをよくするなどの効果なら白ワインの方が期待できますよ。

フレンチパラドックス?
ワインとコレステロールとの関係

ワインとコレステロールとの関係

「フレンチパラドックス(フランス人の逆説)」とは、フランス人がバターをはじめとした乳脂肪類や肉類を多く摂取するにも係わらず、心疾患による死亡率が低いことをいいます。
その原因をひも解いていくと、フランス人が多く飲んでいるワインのポリフェノールの抗酸化作用やLDLコレステロールの活性化を抑える効果が作用しているという可能性にたどり着いたのです。特に赤ワインは、ポリフェノールの種類が豊富なので、効果が注目されています。赤ワインはポリフェノールが多く、比較的糖質が低いのに対して、ビールや日本酒は糖質が多く含まれているのです。

ワインを飲むときに注意するポイント

さまざまな健康効果が期待できるワインですが、あくまで食品に分類されるため、医薬品と違って「この成分がこの病気に効果がある」とはっきり実証できるものではありません。加えて、赤ワインをよく飲むシュチュエーション(人との会食の時に飲む)など、ワインを適度に飲んでいる人の性格や行動の傾向といった複合的要素も加えた研究はまだされてないのです。そのため、ワイン=健康と断言するのは注意が必要かもしれません。
また、食品は医薬品との扱いが異なるため、副作用を証明する必要性もありません。何十年も飲み続けることで副作用があるとしても、それを実証する義務付けがないこと、体格差や性別など、人によって消化できる量が違うのも事実です。

ワインはし好品
「たしなむことと楽しむこと」を念頭に!

たしなむことと楽しむこと

日本人はもともと穀類と野菜、魚介類等を多く食べてきた民族である上に、日本人がよく飲む緑茶にもポリフェノールが含まれていて、そのポリフェノールの一つであるカテキンには酸化抑制効果があるという研究もあります。
ワインはし好品なので、無理して飲むものではありません。
「お酒が飲めないからホットワインにしてアルコールを飛ばして飲む」といった形ではなく、お酒も飲み物も自分が心から楽しめるものを選んで飲むのがおすすめです。美容や健康のためだからと無理して飲む必要はないんですよ。
それより、気のおけない友人や家族など、人と人とのつながりの中での楽しい時間を大切にして、たしなむ程度にワインを飲むことはアンチエイジングや健康の効果を増進させる可能性が大いにあるといえるでしょう。

飲む量に気を付けて! 休肝日の設定が大事

ワインが好きな方にとっては、「健康にいいなら毎日でも飲みたい!」と思ってしまうかもしれませんが、ワインはお酒であるということは忘れてはいけません。つまり、毎日ではなく、必ず週2日程度は休肝日を設けて肝臓を休めましょう。1度に飲む量はワイングラス2杯程度が「飲みすぎ」にならない適量といえます。 最新の研究では週に1~3杯の飲酒は寿命の延長の効果が期待できるとされています。また、50~60歳を経てから適度な量の飲酒をするとよいという研究結果もあります。いずれにせよ、病気になることや寿命を縮めるというリスクの上では、以前からいわれてきた「適切な酒量」は減ってきています。適度な量ならがん抑制の可能性はありますが、逆に飲みすぎることで咽頭がんや食道がんなどのリスクを高めることもあります。

ワインを飲むのに適した時間は?

ワインを飲むのに適した時間は?

夜9時以降の飲酒は肥満につながるともいわれています。寝酒を飲まないと眠れないという人もいますが、最近の睡眠の研究では「睡眠は量より質が重要」といわれています。お酒を飲むと一見眠りにつきやすくなりそうですが、実は眠りが浅く、睡眠の質にとっては悪影響となります。
かねてから言われていることではありますが、早寝早起きがベスト。健康につながるためにワインを何時に飲めばいいというのはないですが、晩ごはんは早めに済ませた方が健康的でダイエットにも良さそうですね!

健康につながるお酒の飲み方とは

一般的に長寿の人はお酒を飲んでいる傾向にあるため「お酒は健康や長寿に効果がある」といわれがちです。それはお酒が健康にいいというより、お酒がその人の「幸福度」につながっているからといえます。
お酒を飲みながらゆっくり食事を摂ったり、みんなでわいわい楽しく食べたり飲んだりをするため、「幸福度」が増すことで免疫力のアップや健康増進、アンチエイジングにもつながるのです。お酒の場も食事の場も、とにかく楽しむということが健康や若さを保つ秘けつといえるのではないでしょうか。

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お話をうかがった方

山田 秀和さん

近畿大学医学部奈良病院皮膚科教授・
近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長
DAA(アンチエイジング医師団) メンバー

医師 山田 秀和さん

大阪府出身。近畿大学医学部卒業、同大学院修了。この間、大阪大学細胞工学センターの国内留学、オーストリア政府給費生等で研鑽を積む。近畿大学在外研究員(ウィーン大学)、近畿大学医学部奈良病院皮膚科助教授を経て現職。日本皮膚科学会専門医、日本東洋学会指導医、日本アレルギー学会指導医、日本抗加齢医学会専門医。
アレルギー等皮膚科領域はもちろん、その領域にとらわれず医療全分野の文献を研究、予防医学の観点から診療にあたる。文化人類学、社会学等にも造詣が深く、「日常に届く医療」の為の情報提供に尽力している。

DAA(アンチエイジング医師団)
http://www.agingstyle.com/

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